令和6年度の国土交通省住宅局関係予算については、以下5分野で重点的に取り組みを進めることとされています。
① 誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保
② 住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現
③ 住まい・くらしの安全確保、良好な市街地環境の整備
④ 既存ストックの有効活用と流通市場の形成
⑤ 住宅・建築分野のDX・生産性向上の推進
中でもマンション関係では、建物と居住者の両方における高齢化に鑑み、マンションの長寿命化や性能向上等を図る取り組みを促進するため、各事業が当初予算に盛り込まれています。
主な事業を下記に紹介します。
■マンションストック長寿命化等モデル事業 継続
令和6年度当初予算:18億円
マンションの再生等を促進していくため、老朽化マンションの長寿命化等を図るモデル的な取り組みや管理水準の低いマンションが管理適正化を図るモデル的な取り組みに対して支援を行う。
事業概要
① 先導的再生モデルタイプ
○計画支援
・ 先導性の高い長寿命化等に向けた事業を実現するための必要な調査・検討に対する支援
○工事支援
・先導性の高い長寿命化等に向けた改修に対する支援
② 管理適正化モデルタイプ
○計画支援
・ 管理水準の低いマンションが大規模修繕工事を実施するために地方公共団体と連携して管理適正化を図るために必要な調査・検討に対する支援
○工事支援
・大規模修繕工事等の修繕に対する支援補助関係
○計画支援[事業前の立ち上げ準備段階]
・ 補助事業者: マンション再生コンサル、設計事務所、管理会社等
・補助率:定額・原則上限500万円/年(最大3年)
○工事支援[長寿命化の改修工事等の実施段階]
・補助事業者:施工業者、買取再販業者等
・補助率:1/3
■マンション管理適正化・再生推進事業 継続
令和6年度当初予算:1.62億円
マンションの高経年化、居住者の高齢化による「2つの老い」に対応するため、地方公共団体等が行うマンション管理適正化・再生推進に資する取り組みに対して支援を行う。
事業概要
① マンションの管理適正化・再生推進に係るモデル事業
・適切な大規模修繕工事の発注に向けた合意形成の支援等
・補助率:定額・(限度額)1,000万円/1団体、1法② 地方公共団体等によるマンションの管理適正化・再生推進に
係る事業
・管理組合へのマンション管理士等の専門家の派遣等
・補助率:定額・(限度額)1,000万円/1団体、1法人
③ 専門家による相談体制等の整備に係る事業
・マンション管理計画認定制度等に関する相談窓口の設置等
・補助率:定額・(限度額)1,500万円/1法人
④ マンションの管理適正化・再生推進に関する制度等の周知・普及事業
・補助率:当該事業の実施に要する経費以内の額
■長期優良住宅化リフォーム推進事業 見直し
令和6年度当初予算: 住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業(447.1億円)の内数
良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、良質な住宅ストックの形成等に資するリフォームへの支援をより幅広く実施する。
補助関係
・補助率:1/3・(限度額)80万円~/戸
■住宅・建築物耐震改修事業 延長
令和6年度当初予算:社会資本整備総合交付金等の内数
住宅・建築物ストックの最低限の安全性確保を総合的かつ効率的に促進するため、住宅・建築物の耐震性等の向上に資する取り組みに対して支援を行う。
補助関係
耐震診断 補強設計
・補助率:国と地方合わせて2/3
耐震改修等
・補助率:国と地方合わせて1/3
■子育て支援型共同住宅推進事業 拡充
令和6年度当初予算: スマートウェルネス住宅等推進事業
(167.4億円)の内数
「こどもまんなかまちづくり」の取り組みを加速化させるため、補助対象に「宅配ボックスの設置」を追加し、子育て世帯にとって安全・安心な住まいを実現する。
補助関係
宅配ボックスの設置
補助率: (改修)補助対象工事費の1/3・(限度額)100万円/戸
※ 子育て世帯が居住世帯の3割以上である共同住宅の改修に限る。補助額は50万円/棟を限度とするとともに、その他の費用とあわせて100万円/戸を限度とする。
■エレベーターの防災対策改修事業 拡充
令和6年度当初予算:社会資本整備総合交付金等の内数
地震時におけるエレベーターの閉じ込めの防止および機能継続性の向上を図るため、閉じ込めや早期復旧への対策となる機能について、補助対象を拡充し支援を強化する。
事業概要
既設エレベーターの防災対策改修工事
・地震時管制運転装置、戸開走行保護装置の設置など
・補助限度額:950万円/台
※ 防災対策が整備されているうえで、令和6年度予算でリスタート運転機能、自動診断・仮復旧運転機能の追加に対する補助が拡充された。
大規模修繕工事新聞 174号2024-06