全建センターでは、マンション給排水設備工事を専門的に取り扱ってきた木村章一氏を室長に迎え、給排水設備改修相談室を開設しました。大規模修繕工事新聞では、全建センター恒例の管理組合オンラインセミナーより、木村室長が講師を務めた「マンション給排水管改修工事『見積書の見方』」を数回に分けて、掲載します。
詳しくはVimeoによる第71回管理組合オンラインセミナーの動画配信を視聴してください。全建センターのホームページから閲覧することができます。
全建センター給排水設備改修相談室・木村室長による「マンション給排水管改修工事『見積書の見方』」の2回目を掲載します。今回は<給水管⑵>です。
詳しくはVimeo、YouTubeによる第71回管理組合オンラインセミナーの動画配信を視聴してください。全建センターのホームページから閲覧することができます。
<全体工事費>から、「2メーター廻り給水管更新工事」をピックアップし、内訳を表示しました。
「メーターユニット」
注目したいのは、共用部給水立管の中でも、メーター回りの立管から枝分かれした水道メーター回りです。
昔は、水道メーター回りの配管が細く、漏水が起きることが非常に多くありました。さまざまな部材が組み合わさって取り付けられていたんですけど、なぜか金属の種類が違うものが組み合わされているものですから、ここだけ傷みが早いっていう事例がすごく多くてですね。
近年は継手を使わないで、バルブや弁類、メーターのユニットが使われるようになりました。
水道局がメーターを取り替える際に、メーター回りの配管がボロボロで取り替えられないという事態が増えてきて、水道局が困らないようにユニット化されたということらしいです。
1 ユニット18,000円ですが、これでかなり労務費も下がりました。配管をつなげる必要がなくなったので、施工側としてもメリットが生じています。
◆見積書の見方⑤
「保温工事費」
給水管は外気に触れて結露を起こすため、配管に保温材を取り付けます。こちらのマンションでは屋内配管について、ビニル被覆亀甲金物付きのグラスウール(GW)を採用し、単価は4,500円/ m、4,300円/ mの2種類の単価を入れました。
保温材は、屋外露出で雨風が当たるところにつけるものと、メーターボックスの中のように雨風に当たらないものでは材質も変わります。
「試験調整費」
試験調整費は見積書の下のほうに入っています。
共用部給水立管では、工事が終わる前に、配管が外れたり、ちゃんと接続できていないなどの不具合が生じていないかどうか、試験を行って確認します。
工事会社のチェックする仕組みですが、工事項目内に入れず、あえてそれぞれの工事項目ごとに「試験調査費」を入れています。
今回のメーター回りの更新工事では、27戸×1,000円の27,000円が計上されていますが、工事内容や規模によって戸当たり単価は変動します。
信じられないくらい安い単価が入っている場合、「なにを」「どのように」「どの密度で」チェックするのか、作業内容の確認をするのも見積書の見方のひとつです。
大規模修繕工事新聞 180号2024-12
給排水設備改修相談室長
全建センター筆頭理事:木村 章一
・一級管工事施工管理技士
・一級建築施工管理技士
過去の各戸水道メーターの周辺の配管材料はなぜかさまざまな材質の部材を組み合わせていたので、異種⾦属接触による劣化が激しい部位だった。
このため、近年では、現場で様々な部材を組み合わせることをやめて、ユニット型の水道メーター設置器(メーターユニット)を使用している。
給⽔管が直接外気に触れて結露しないため、また直射⽇光や冷気の影響を防⽌するために施工する。その施⼯⽅法は「屋外に出ているのか」「屋外に出ていないのか」等によって異なる。
試験調整費は、作業ごとに試験(圧⼒試験、触診試験、⽬視試験)の費用。写真は圧力試験の様子。不具合がないかを確認して記録する。