管理業者管理者方式を考える
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2024年11月5日付第56号「論談」より
◇ ある管理会社の管理規約
管理会社による第三者管理(管理業者管理者方式)が増えていることが、国交省の調査で明らかになっている。その方式に懸念もある。
標準管理規約では、第3節役員の第35条に「管理組合に次の役員を置く」とあり、理事長、副理事長、会計担当理事とそれらを含む理事、そして監事を置くとなっている。
一方、A管理会社の管理規約では、第3節が管理者になっており、第35条には「管理者は、(社名)又はその指名するものが務めるものとする」とあり、理事や監事は存在しない。
総会はあるが、その前後のすべてを管理者が行うわけである。
議決事項の第42条には七項目が示され、それらについて「総会の決議を経なければならない」とあり、七は「その他管理者が総会の決議を要すると判断した事項」とある。
管理者の思いのままになる可能性が垣間見える。
◇楽を買って、賃借人化するマンション
管理業者管理者方式で、マンションの未来はあるのか深く考えたい。
表面的に楽になるとか高齢者が多いのは事実としても、理事の成り手不足というのは本当なのだろうか。
元気で、やる気のある高齢者もいる。理事会はアンケートで、区分所有者の意向調査などで、マンションの明日を考える取り組みをしたい。
管理組合運営の主体は管理組合にあり、区分所有者が担い、自立した管理が求められる。それらを奪いかねない第三者管理者をどのように評価するのだろうか。
管理者が聖人の如くあればよいが、耳にする状況は異なっている。しかも、利益相反もあり得るので管理組合の大事な資金がムダに使われるかもしれない。
◇監査・チェック機能の重要性
管理者が大きな権力・権利を握る懸念もある。総会はあっても、管理者が掲げた提案等を十分に審議できるのか。
管理組合は単なるハコのような状態に置かれる可能性がある。
つまり、管理者に対するけん制ができないのではないか。
心清らかな管理会社ばかりではない。管理者適切に管理を行っているか、確認できる機能を作っておくことは極めて重要である。
A社の管理規約を読む限り、自分たちがやりやすい仕組みであることは明瞭だが、業務の計画・実行・確認・見直しの都度、わかりやすく、透明性のある報告等の仕組みが欠かせない。管理者が自らの業務に自信があるなら、第三者に確認してもらう取り組みがあるのが当然のことと言える。
繰り返すが、自立管理が最善であることを再度考えてみたい。
(NPO日住協論説委員会)
大規模修繕工事新聞179号(24-11)