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総会議事録でクレーマー扱い!? きちんとした記述を求めるには?/山村弁護士法律相談

総会議事録でクレーマー扱い!?きちんとした記述を求めるには?

 管理組合総会があり、大規模修繕工事は今やる必要がありますか?と質問しました。後日、届いた総会議事録をみると、私の発言は「工事をやる必要はない」という理事会に対するクレームとなっていました。  また、ベランダに地デジアンテナを設置している住戸があるので、それはいいのですか?と質問したところ、「撤去しろという意見があった」という記述になっていました。
 私の発言が大げさにとらえられ、私の存在はいかにもクレーマーのようです。
 議事録を作成している管理会社が私の発言を都合のよいように利用しているようなのですが、他の住民の目が気になります。
 きちんとした総会議事録の記述を求めるにはどうしたらよいでしょうか?

特定の発言の曲解記載は名誉毀損行為に該当する可能性も

  区分所有法42条は、総会の議長(通常は理事長)に議事録を作成することを義務付けており(同条1項)、議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載することとされています。(2項)。
 ただ、管理会社へ管理を委託しているマンションの場合、総会議事録は管理会社の担当者が草案を作成し、理事長が確認・修正をするといった方法で作成されているのが実情です。
 ですので、本件のような場合、管理会社の担当者や事長に対し、自己の行った発言について、他者に誤った印象を与えないように正確に記載してもらうよう申し入れることが考えられます。
 また、議事録は、理事長と総会に出席した理事の2名がこれに署名することとされておりますので、署名担当理事に対し、自分の発言が正確に記載されていない場合は署名をしないように働きかけることも考えられるでしょう。

とはいえ、通常、理事でもない一般の区分所有者が総会議事録作成過程に関わり、上記のような働きかけをすることは現実的には難しいと言えます。
 特に理事会と管理会社のつながりが強いような場合、議事運営に苦言を呈する発言をした区分所有者の発言は、端的にまとめられ、クレームを述べただけのような記載のされ方をするかもしれません。
 議事録作成段階では、その記載内容をチェックしたり修正を求めたりすることはな記載のされ方をされてしまうのを止めるのは難しいと思います。

 ただ、総会議事録は、組合員または利害関係人から閲覧請求があった場合に、正当な理由がない限り開示されますし、総会後に総会議事録の写しを各区分所有者に郵送するという取り扱いが広く行われています。
 このことからすると、特定の区分所有者の名前を記載して、その者の発言を曲解してクレーマーのように記載することは、その区分所有者に対する名誉毀損行為に該当し、損害賠償請求の対象となることもあり得ます。

ですので、あまりに酷い記載のされ方をした場合は、理事長および管理会社に対し、名誉毀損に基づく損害賠償請求を行うことも考えられるでしょう。

大規模修繕工事新聞186号(25-06)

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