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大規模修繕工事の談合―徹底した実態解明が必要

 独占禁止法は私的独占の禁止と公正取引の確保を保障するための法律である。
 独立機関である公正取引委員会(公取委)がその任に当たる。
 その公取委が3月初め、マンション大規模修繕工事業者の談合解明のために工事業者20社に調査に入ったことが報道された。
 3月末には新たに5社が調査に追加され、また何人かのコンサルタントも調査対象になったと伝えられている。
◆該当の組合も多い

 マンション管理組合の管理業務のうち、費用でも業務量でも最大を占めるのはいうまでもなく、修繕であり、そのほとんどが十数年に一度のいわゆる大規模修繕に費やされる。
 今回判明している談合業者の名前をみると、皆さんの管理組合の修繕にかかわった企業名が相当あるのではないかと思われる。
 談合で修繕費を余計に支払わされた可能性は高い。

◆損害を受けている

 談合の内容は何か、何のためにやるか、工事業者による内々の相談による受注先の調整、受注価格の調整である。
 目的は、工事業者の業務時期の調整と経営の安定、収益の確保のためである。
 談合によって利益を最大限にしようと努める。したがって、損害を受けているのは他ならぬわれわれ区分所有者であり、管理組合である。

◆徹底調査、解明を

 公取委の調査開始が発表された段階で、談合企業と発表された企業の多くは、談合を否定できず、調査に協力する態度表明をした。
 実態からいえば談合の事実は十数年前あるいはそれ以上前の時期からあったとみられる。この際、まず公取委には、今回の談合の実態を余すことなく明るみに出す徹底調査を求めたい。
 工事業者は隠すことなく調査に協力し、談合の実態を正直に報告すべきである。

◆管理組合の姿勢が重要

 談合はひそかに行われるものだから、管理組合が直接摘発するのは困難である。
 しかし、談合がしにくいようにする努力が求められる。
発注までの業務を管理会社任せにしないこと、工事会社選定の手続きで応募書類や見積もり書類などの受取先を管理組合だけにすることなどはどうしても必要である。
 こうしたことは、日常的に管理組合が管理会社やコンサルタント任せにせず、自立的に活動する形になっていないとできない。 (NPO日住協論説委員会)

(NPO日住協論説委員会)


大規模修繕工事新聞185号(25-5)