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名誉毀損文書頒布行為等停止請求控訴事件 ・平成24年1月17日最高裁

 

 

 

 

 

【事件の概要】

 神奈川県藤沢市のマンション管理組合の代表者が区分所有法6条「区分所有者の共同の利益に反する行為」を繰り返す所有者に対し、同法57条に基づく行為に差し止めを求めた訴訟の上告審で最高裁第3小法廷は管理組合側が敗訴した二審判決を破棄し、東京高裁に差し戻しました。


 管理組合側が訴えた区分所有者の迷惑行為は、
①理事長を誹謗中傷するビラの配布
②役員が管理組合資金を運用しているとする文書の配布
③工事業者の現場事務所での業務妨害
④理事長や役員に対する暴行など。
 1審横浜地裁、2審東京高裁では上記の行為に対し、「騒音や振動、悪臭のように建物の管理・使用にかかわるものではない」ことから「共同の利益に反する行為には当たらない」として管理組合の請求を棄却していました。
 最高裁の判断では、区分所有者の迷惑行為が管理組合役員らに対する個人攻撃にとどまらず、管理組合の業務の遂行や運営に支障が生じているという管理組合側の主張に対し、下級審ではマンションの正常な管理や使用が阻害されているかなどの点について、「審理判断されていない」とされました。
 このため原判決を破棄し、管理組合の請求が法57条の要件に満たしているか、さらに審理を尽くさせるため東京高裁に差し戻しが下されました。
最高裁の見解
●(区分所有者の)各行為は、本件管理組合の役員らに対する単なる個人攻撃にとどまらず、それにより、集会で正当に決議された本件マンションの防音工事等の円滑な進行が妨げられ、また、本件管理組合の役員に就任しようとする者がいなくなり、本件管理組合の運営が困難になる事態が招来されるなどしているのであって、本件マンションの管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為であり、これが違法であることも明らかである。

●法57条に基づく差止め等の請求については、区分所有者が業務執行に当たっている管理組合の役員らを誹謗中傷する内容の文書を配布し、マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為は、それが単なる特定の個人に対する誹謗中傷等の域を超えるもので、それより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には、法6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地があるというべきである


区分所有法関連条文
(区分所有者の権利義務等)
第6条第1項
区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第57条第1項
区分所有者が第6条第1項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。

 

大規模修繕工事新聞 2025-12月 192号