マ ン シ ョ ン 管 理 動 向 の な 話 題
第2回 脱法ハウス・違法貸しルーム
規定にそぐわない専有リフォームは不承認に
埼玉県川口市で4月2日に住宅火災があり、この住宅が多数の居室に間仕切りされた「脱法ハウス」だったことがわかりました。
横浜市でも1月、7階建てビルの一部を焼く火災があり、各階が細かく仕切られ約40人が暮らしていたことが確認されました。
シェアハウスは2~3畳に仕切った小スペースを住居用に貸し出されているものですが、窓や避難器具、避難通路も確保されていない施設が多く、建築基準法、消防法、
建築関連条例等の上で疑わしい点が多々あります。しかし、シェアハウス以外に明確な定義がないため、「脱法ハウス・違法貸しルーム」と称されているのです。
2013年7月12日、国土交通省は「建築基準法違反の疑いがある」物件の情報を得るため、マンション管理の業界団体に類似物件の情報提供を要請しました。さらに7月19日、建築士、不動産業者、建設業者が設計、仲介、工事に関与することを禁じる通知を関係団体に出しています。
一般的なマンションでは、区分所有者が専有部分の改修を行おうとする際、工事の届け出を理事長に提出し、承認を得る方法を取っています。規定にそぐわない専有リフォームは不承認としなければなりません。
怖いのは火災などの事故・事件につながることです。今後はさらに関係法令に違反しないよう管理組合としてのチェックが必要となります。
裁判所はシェアハウスOK ?
2013年8月22日、港区麻布十番のマンション(築約30年、16戸)の1住戸(83㎡)を8人用のシェアハウスに改造して貸し出すのは、「住民の共同の利益に反する」「シェアハウスの入居者はよく入れ替わるため、マンション住民が不安を募らせている」として、管理組合がフロア所有者に使用禁止を求めた仮処分申請で、10月24日、東京地裁は申し立てを却下した。
裁判所はシェアハウスを認めたのか?という裁判例だが、実際は争点が事務所使用をやめさせるために後から変更した管理規約有効性を却下したもので、区切られた個室は東京都条例で定める最低基準(7㎡)を超えており、建築基準法に違反するかどうかの判別が難しいケースでもあった。
(大規模修繕工事新聞 2014-5.5 No.53)