「大規模修繕工事新聞」創刊から現在に至るまで、全ての記事をアーカイブ収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を上の<記事検索>にキーワードを入れるだけで表示させて、必要な記事を読むことができます。

分譲業者が主張する駐車場の専用使用権 管理組合へ明け渡し命令下される

 平成22年7月30日福岡高裁

【事件の概要】
 平成2年分譲開始・48戸7店舗のマンションです。駐車場は37区画分あったのですが、分譲業者が勝手に第三者に使用させ、使用料を徴収していました。
 平成18年12月の臨時総会で、駐車場が区分所有者全員の共有であることを確認。管理組合(原告)が駐車場を区分所有者に貸与し、使用料を徴収する管理規約への改正を議決しました。
 平成20年8月、管理組合は分譲業者等(被告)に対し、(1)不法行為に基づく駐車場使用料相当額損害金の支払いと、(2)占有する駐車場について所有権に基づく明け渡しを求めて提訴しました。
 被告らは重要事項説明書と規約承認書に12区画が売主の所有であること、店舗前敷地は無償の専用地であると明記されていることから、平成18年の規約改正は区分所有法第31条の「一部の区分所有者の権利に特別な影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」に当たるとし、決議は無効であると主張しました。
【控訴審の判断】
(1)不法行為に基づく損害賠償請求
 重要事項説明書には「専用使用権に関する規約等の定め」という表題のもとに駐車場の権利関係の説明が記載されていることから、原始規約の内容の説明であり、重説の署名をもって原始規約とは無関係に被告らの専用使用権の合意を否認しています。また、規約承認書は5戸分が不足しており(手続き上の不備)、区分所有者全員の書面による合意は認められないと判断されました。
 さらに平成18年の規約改正は、もともと被告らが専用使用権を有していなかった等を理由に「特別の影響」を及ぼすものではないとし、裁判所は同日以降の不法行為を認めました。
 ただし、規約改正以前の占有については、被告らによる使用料の収受は区分所有者全員が容認していたもので、被告らは善意の占有者であり(民法189条1項)、手続き上の不備や過失がなかったとは言えないものの、「本件マンションの管理・運営に大きな影響を及ぼしたということもなかった」として、不当利得の成立を否定しました。
(2)駐車場の明け渡し
 被告らは専用使用権の時効取得の主張を追加して控訴しましたが、上記認定の通り、「手続き上の不備・過失がなかったとはいえない」としていることから、「未だ時効期間は経過していない」と否定。明け渡しを認めています。
 ※原告、被告は上告しましたが、被告らが上告を取り下げました。

参考
民法 第189条(善意の占有者による果実の取得等)
 善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する
 同第190条(悪意の占有者による果実の返還等)
 悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う

 

 

大規模修繕工事新聞 2026年2月 194号