「大規模修繕工事新聞」創刊から現在に至るまで、全ての記事をアーカイブ収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を上の<記事検索>にキーワードを入れるだけで表示させて、必要な記事を読むことができます。

頻尿にお困りではありませんか?

 頻尿や夜間頻尿が続くと、「またトイレ…」という焦りが日常に影を落とします。60代女性では約2.5人に1人が排尿の悩みを抱えるとも言われ、決して珍しい不調ではありません。つい膀胱炎を疑いがちですが、痛みや出血が目立たないのに尿意が頻繁に来る場合、背景に「過活動膀胱」が潜んでいることがあります。
 過活動膀胱のサインは大きく4つ。①昼間に8回以上トイレへ行き、1回の尿量が少ない「頻尿」。②夜に3回以上起きてしまう「夜間頻尿」。③尿意を感じた瞬間、我慢がきかないほど切迫する「尿意切迫感」。④間に合わず漏れてしまう「切迫性尿失禁」です。中でも頻尿と夜間頻尿は、生活の質をじわじわ下げる“静かなストレス”になりやすいところが厄介です。
 ではなぜ起きるのでしょう。過活動膀胱は、膀胱に尿をためる力が落ち、少量でも膀胱が収縮して「出したい」と感じてしまう状態。加齢で膀胱の粘膜が萎縮し、膀胱そのものが硬く小さくなることがあります。膀胱炎を繰り返した人や、粘膜に慢性炎症がある人は、膀  胱が過敏になりやすいとも考えられます。さらに強いストレスや冷え、緊張の連続などで自律神経が乱れると、膀胱の制御がうまくいかず尿意が暴走しがち。骨盤底筋が弱って膀胱が下がる、内臓下垂や便秘で膀胱が圧迫される、といった「支える力・押される力」の問題も重なります。
 養生の第一歩は、“膀胱を刺激する要因を減らし、ためられる環境を整える”こと。加齢による萎縮対策として燕の巣エキスに触れられることがありますが、日常でできることとしては、まず体の乾燥と冷えを放置しないこと。特に夜間頻尿がつらい人は、寝る前の冷えが引き金になりやすいため、湯船でしっかり温まり、湯冷めしない工夫が効果的です。腹部にカイロを当てるなど、下腹部を「温めて守る」意識はシンプルですが侮れません。
 次に、膀胱粘膜が荒れやすい体質の人は“炎症を育てない食べ方”へ。小麦食品(グルテン)や甘いものを控える提案は、慢性炎症を起こしやすい人にとって見直しポイントになり得ます。また植物油の摂りすぎに注意、という視点も挙げられています。
 そして見落とされがちなのが、骨盤底筋という“下からの支え”。尿もれや下垂感がある人は、骨盤底筋トレーニング(いわゆる骨盤底筋体操)を習慣化すると、膀胱への刺激が減りやすくなります。コツは「強く一回」ではなく、「弱くても毎日」。歯磨きのように生活に埋め込むほど、体は変化に応えてくれます。
 頻尿・夜間頻尿は、根性で我慢するほど悪化しやすい不調です。冷え、炎症、ストレス、筋力低下、便秘や下垂――原因は一つに決めつけず、自分に当てはまりそうな要素から生活を組み替えていく。トイレの回数を減らすことは、行動の自由を取り戻すことでもあります。つらさを「年齢のせい」と片づけず、今日から小さく整えていきましょう。

(薬剤師・国際中医師・国際薬膳師 高田理恵)

 

<おもしろコラム提供>//omosiro-column.com/

 

大規模修繕工事新聞 2026-3月 195号