内閣官房国土強靱化推進室は令和8年7月3日、国土強靱化推進本部において「国土強靱化年次計画2026」を決定した。令和5年7月に閣議決定された「国土強靱化基本計画」および令和7年6月に閣議決定された「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づき、2026年度(令和8年度)の推進施策をとりまとめたものだ。計画の対象は405の施策・883の指標に上り、PDCAサイクルによる進捗管理を強化している。
老朽化対策に約2.6兆円 予防保全型への転換を加速
計画では大きく3つの区分で施策が整理されており、「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策」が重要な柱のひとつとして位置づけられた。5か年加速化対策(2021〜2025年度)における老朽化対策の事業規模は最終的に約2.6兆円(うち国費約1.6兆円)に達し、道路橋梁・上下水道施設・鉄道施設など幅広いインフラの維持管理・更新が推進されてきた実績が示された。道路施設の老朽化対策と上下水道施設の戦略的維持管理・更新が国交省の重点施策として明記されている。
住宅耐震化・密集市街地対策が「直接死を防ぐ」施策に
「住宅・建築物の耐震化」が「直接死を最大限防ぐ」施策グループの主要施策として明示された。「耐震化の必要性に対する所有者の認識の向上を図るとともに、あらゆる手法を組み合わせて耐震化を進める」との推進方針が示されている。密集市街地の改善・老朽建築物の除却・建て替え等のハード対策も引き続き重点施策とされた。
老朽化マンション再生が国土強靱化の施策として明示
今回の計画で特に注目されるのが、「老朽化マンションの再生等の円滑化」が国土強靱化の施策として明確に位置づけられたことだ。計画本文には「建替え決議等に対応したマンション再生事業等の活用促進等を図る」と記されており、老朽化マンションの建替え・再生を国が強靱化施策の一環として後押しする方向性が示された。超高層建築物についても長周期地震動の安全性検証と家具転倒防止対策の推進が盛り込まれている。
計画の達成状況と今後の財源
5か年加速化対策(123対策)は約7割が達成済み・おおむね達成、KPI50%以上含め8割超が進捗。ただし物価上昇等で当初目標に達しなかった施策も一定程度あったとしている。第1次実施中期計画では令和8〜12年度の5年間でおおむね20兆円強程度を事業規模の目途とし、初年度確保額は事業規模ベースで約4.1兆円(うち国費約1.9兆円)とされた。
マンション管理組合への示唆
「老朽化マンション再生」「住宅耐震化」「密集市街地の老朽建築物除却・建て替え」の3方向が国土強靱化の中核施策として明記されたことは、建替え促進・耐震改修補助・大規模修繕支援に関する制度拡充の呼び水になり得る。今後の都道府県・市区町村レベルでの地域強靱化計画における具体的施策の展開が注目される。
出典:内閣官房「国土強靱化年次計画2026」概要・本文(令和8年7月3日 国土強靱化推進本部決定)//www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/kihon.html
大規模修繕工事新聞・ニュース速報 2026-07-19 17号





