
前号に引き続き、一般社団法人全国建物調査診断センターが6月28日に配信開始した第81回管理組合オンライン・セミナーの抜粋・採録です。今回は、「3.談合させない具体的な手法」を取り上げます。講師は、一般社団法人全国建物調査診断センター所属・瀬川香里氏(アバター理事)が務めています。
3.談合させない具体的な手法
①設計コンサルタントに詳細仕様や数量明細書付き資料の提出を求める
キックバックと言われるようなバックマージン、こうしたものに対してどのようにして防止ができるのか、あるいはどのようにしてこうしたものが発生する仕組みがあるのか。
談合のさせない具体的な手法の1番目。設計コンサルタントへは、詳細仕様や数量明細書付きの資料の提出を求めるということです。
すでに平成29年1月27日付国土交通省住宅局土地・建設産業局より通知された、「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について」では、不適切コンサルタントと工事会社の距離感について言及し、管理組合への処方について解説していて、どのようにして特定の工事会社を選定するのか、またバックマージンの周知を可能にする仕組みについて具体事例を挙げて、その対策を指南しています。
設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について(通知)
//www.mlit.go.jp/common/001230147.pdf
繰り返しますが、メディアは、こうしたことに対して一つも取り上げてくれません。
具体的な事例では、設計会社が施工会社候補5社のうち特定の1社の見積金額が低くなるよう、同社にだけ少ない数量の工事内容を伝え、当該1社が施工会社と内定した事例がある。

これはどういうことかというと、管理組合が知らないうちに設計図書内の見積り明細の数量を特定の一社有利になるように改ざんしていましたということです。
外壁の面積や防水の面積が何㎡で書いてあるものを、特定の一社にだけ少ない面積に変えたものを渡して、それで見積りをさせていたということなんです。
これを伝えないのが一般のメディア。伝えるのが私ども、一般社団法人全国建物調査診断センターです。
次です。バックマージンを支払える仕組みについても、国交省の通知では、不適切な方策が書かれています。
工事費を水増しできるように不必要な工事や過剰な設計仕様。過剰な設計仕様とは、高額になるようなものをわざわざ設計仕様に入れるということです。
それから、特定の一社にだけ数量が少ないものを渡して、工事費用が安くなるように画策していた。
こうしたことを防止するには、設計コンサルタントが作った設計資料の中で、詳細仕様や数量明細書付きな資料の提出を求めることで、こうした図式を破壊することができるわけです。
ただし、詳細仕様、これが過剰仕様なのか、あるいは数量の明細としてこの明細書は正しいものなのかどうなのか、管理組合では判断できません!という場合は、私ども、一般社団法人全国建物調査診断センターにセカンドオピニオンということでお尋ねください。
ご提出あった資料について詳細に分析をしまして、過剰な仕様になっているかどうか、数量明細書に不正がないか、こうしたものを精査させていただきます。
②報告書の閲覧を請求する
談合させない具体的な手法の2番目は、設計コンサルタントに、「建築士法第23条の6の規定による報告書の閲覧をさせてくれ」という行為を求めることです。
国交省通知の別紙1<指摘されている事例>より、最も安価な見積金額を提示した設計コンサルタント社に業務依頼したが、実際に調査診断、設計等を行っていたのはコンサルタントの職員ではなく、施工会社の社員だったことが発覚した、とあります。
コンサルタント、実際には施工会社社員による施工会社選定支援です。結果、当該施工会社が内定しましたが、発覚が契約前だったため契約が見送られました。
「建築士法第23条の6の規定による報告書」は、建築士事務所の開設者が事業年度ごと(年に一度)に都道府県知事へ提出する義務がある書類です。同時に、この提出した書類については、求めに応じていつでも閲覧させなければならないと規定されています。
報告書では、所属している建築士について、氏名、登録番号等を名簿として取り揃えておく必要があるわけです。本当にそこの建築設計事務所の所属している建築士であるかどうかということはこの規定を見ると一目瞭然なんです。
こうした法的文書等を、バックマージン問題対策として利用することが最も正当であり、公正であり、有効な手続きと私どもは考えております。これにより、なりすましの撲滅もすることができます。
続いて、国交省通知の別紙2<取組事例>より、利益相反的な提案をしてきた設計会社を除外して選定した事例です。
新聞、雑誌、経験上の知識など情報をもとに15社に見積もり依頼し、うち7社から見積もりが提出され、金額、内容、実績等を精査し、上位2社に絞り込んだ工事項目の絞り込みなど工事費の削減に向けた提案を行った施工会社を管理組合が決定、とあります。
管理組合が設計コンサルタントに頼ることなく見積もりを取得したというところが、これの大きなポイントです。
見積もりを取得するという行為を管理組合が自ら行い、これらをもって、設計コンサルタントにバックマージンを収受させないという根本的な仕組みができあがります。
やる気にさえなれば、管理組合さんが見積もりを取得する行動をサポートする方法は、実は今はたくさんある時代です。
デジタル化が進んだことによりまして、管理組合が工事会社を知らなくとも簡単に利用でき、工事見積もり取得の支援をするサイトやアプリがあるという事実、これらも合わせて皆様方にお届けをさせていただきたいと思います。
管理組合様が主体的に見積もりを取りたい際に、管理会社や設計コンサルタントに頼らずにでも自らが見積もりを取るということを支援してくれるサイトやアプリケーション一覧表を添付します。
(アプリ一覧表一覧表:左表)
他にも管理組合さんが主体性をもって談合問題を乗り越える手法というのは多々あります。
・工事会社と設計コンサルタントの契約には〇〇〇ということをする
・2回目以降の大規模修繕工事を迎える管理組合には、〇〇〇をすると談合とバックマージンを防止できる環境が整う
いずれも、これ以上はセミナーで公表することを差し控える内容に立ち入るということになります。
個別具体的な情報すぎるので、お知りになりたい方は一般社団法人全国建物調査診断センターにアドバイスを含めた顧問契約等をしていただいた場合に対して適宜サポートの実務として実施をさせていただきたいと考えております。
談合させない仕組みを作るということは可能です。
そうしたことに対してどうぞ私どものサポートというものも大いに活用していただければ、と考えております。
ご清聴、誠にありがとうございました。
大規模修繕工事新聞 2026年9月 201号




