<マンション エトセトラ 管理運営相談>
相談内容
管理組合役員のなり手がなくて困っています。
現在は輪番制で回しているが、体調面の理由で辞退する人や賃借人などが増え、決まった人に固定されてしまいがちになりつつあります。
一生懸命やる人と、お気楽な人と、マンション内の意識差が調和を乱すことにもなりかねません。
なにか解決方法はあるでしょうか。
回 答
多くの事例で役員を断る一般的な問題は、①住民の高齢化②多忙を理由に理事を拒絶③賃貸人の増加と、相場が決まっている。
こうしたマンションの課題を把握した上で、取り組みたい問題だが、解決策はたやすくない。
管理組合の役員、特に理事長になると責任や時間的な負担が計り知れない。だからみんなが避けて通りたい道なのである。
ただし、だれもいないということの重圧から、覚悟を決めて引き受けてくれる人もいる。
こうした人に対して、あの人が引き受けてくれたからいいや、自分には関係ない、という人がいることこそが、役員を引き受けた人たちが一番しゃくに障ることではないだろうか。
もちろん、仕方なく役員を引き受けたからといって、何の責任も感じず、何の行動も起こさない人もいる。
マンションの管理運営、維持管理に意識があり、行動する人は、何も行動しない人に比べると、同じ資産管理の上で大きな不公平感があると思う。
一番の解決策は、この不公平感の解消ではないだろうか。
「役員報酬」「管理協力金」は、その最たる例といえる。
①住民の高齢化
高齢者が高齢化の負担を理由に辞退するケースでは、負担の少ない役職を担当してもらうなどの方法で説得してみる。
ただし、高齢者一人による頑固な反対で議事が進まないケースなどもあり、見極めは必要である。
②多忙を理由に理事を拒絶
理事の資格を緩和する方向で管理規約を改定する。
(例)マンション標準管理規約
第35条
管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長○名
三 会計担当理事○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事○名
2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。
例えば、区分所有者の配偶者や、一親等以内の親族(親子)でも理事になれるようにするなどと規約に加えることも可能とする。
③賃貸人の増加
外部に住む区分所有者が増え、理事を引き受けないケースが増えている。居住する区分所有者からみると、外部に住む人は理事を引き受けることがなく、不公平感を感じる。
そこで「役員報酬」「管理協力金」制度を検討する。
・「 役員報酬」は、国土交通省平成20年度マンション総合調査によると、約19%の管理組合で理事への報酬(月額3000 ~6000円)があると回答している。上記②に対しても有効。理事になっても出席しない人もいるが、出席回数に応じて報酬を支払う形が一般的なようだ。
・「 管理協力金」は、組合運営に参加できない外部区分所有者などに対し、参加する人との不公平感を是正するとして管理費に「管理協力金」を加えるようにする。現在、多くの管理組合では電話代や郵便代の通信費を計上するところもあるが、責任や行動を負担することがないため、「管理協力金」の理解も増加している。
ただし、お金を出せば、理事をしなくてもよい、管理組合の活動に参加しなくてもいいと解釈されても困る。管理運営はみんなで行うものだという理解は広報などで浸透させていくべきであろう。
※ 2010年1月27日、最高裁が不在区分所有者に対する上乗せ管理費が適法とする判例を出した