旧耐震基準のマンションとして耐震性不足が懸案事項であった川崎市幸区の河原町分譲共同ビルで、7月1日から大規模な耐震改修工事がはじまった。工事期間は約13カ月間。来年夏の完成を目指す。
管理組合の耐震問題は平成21年5月の定期総会で、耐震診断実施計画が承認されたことにはじまった。計画は予備診断から本診断へ精度が上がっていく。
このときの様子を神品勝征理事長は「予備診断は条件を満たせば川崎市の制度により無料でできるが、本診断は助成金があってもかなりの額がかかるので多くの区分所有者の賛同を得るように尽力した」と話す。
平成23年3月、本診断費用3,500万円のうち川崎市の助成金が2,000万円と確定し、診断を実施。5月に耐震診断結果を報告する住民説明会を開いて、震度7に耐えられる工事の提案を行った。
平成23年5月の定期総会で修繕積立金の値上げが承認された。11月、耐震改修の設計・施工を行う工事会社選定を開始。12月に予定する耐震改修の事前住民説明会を行い、翌年1月から施工会社の提案書を受領、2月参加者にヒアリングを行って業者選定を終了。7月からの工事体制が整った。
「耐震改修は修繕積立金の10年分くらいの費用となり、その上、住みながらとなれば、ほぼ全員の合意を得て、管理組合と一緒に工事をするという住民体制が浸透しないとできない」―神品理事長の言葉だ。
(大規模修繕工事新聞 No.59)