給湯器付PS扉の塗膜剥がれ
【 現 況 】
給湯器付PS(パイプスペース)扉において、塗膜剥がれがみられるケース。剥がれの発生個所はマンションの階数、方角などに特徴がない。
塗膜剥がれは、扉の亜鉛メッキと塗膜の最下層との間に発生している。一度塗り替えを行っている状況だが、剥離しているのは新設時の下塗りと推定される。
塗膜面も紫外線で劣化し、粉末状に白亜化(チョーキング)している。一方、扉の裏面は良好である。
【 原 因 】
テープを貼り付け、引っ張ることによる付着力確認試験を行
う。結果は、剥離が発生している扉は付着力が低下しているが、剥がれのない個所では付着力があり、方向性がつかめない状況である。
一般的に亜鉛メッキの上にフタル酸樹脂系塗料を塗装する場合には、必ずエッチング加工(腐食加工)したプライマーを塗布しなければならない。
ところが、本現場ではエッチングプライマーを塗布した形跡がなく、新築時に適切な塗装仕様が施されていなかったのではないかと思われる。
このため、雨水等の影響を受けやすい個所、給湯器の利用頻度による熱の影響を受けやすい個所を中心に付着力が低下したと考えられる(よって方向性がつかめなかった)。
【 対 策 】
現況で付着力のあるなしに関わらず、いずれは既存塗膜は全体的に付着力が著しく低下すると考えられる。
このため、既存の塗膜をすべて除去し、亜鉛メッキ適性のあるエポキシ樹脂プライマーを塗装し、上塗りには耐水性、耐候性に優れたウレタン樹脂塗料を塗装する。
(大規模修繕工事新聞 No.60)