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植栽から10年たった緑地管理への提案

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植栽された樹木は10年経つとどのように変化していくのか、また今現在どのような状況になっているでしょうか。

マンションの緑の価値が重要視される今、植えたままになっている緑を見直すことによってその価値をできるだけ引き出してあげる事ができるかもしれません。より良い緑への将来を見据えて毎年の管理を行っていくヒントを提案します。

①大きくなってしまった緑陰樹やシンボルツリーの見直し

例:クス・イチョウ・ケヤキ・トチなど

63-8-2夏涼しい木陰をつくり緑豊かな景観を作り出す目的で植栽される緑陰樹ですが植栽から10年もたつと枝や伸び葉が茂り、逆に陰気なイメージを与えかねません。
また、木の特性を考えず、大木になる木に間隔を開けずに植栽してしまい、結果的に過密植栽になってしまう例もあります。
今まで樹木が生長し、大きくなるのは良いとされてきましたが、本来の役割を果たしていなければマイナス効果です。
.対策と管理方法
緑陰樹やシンボルツリーには主に大木になる木が使われるため、植栽をする時には10年、20年後にこの木がどういう成長をとげるかという予測をする事が必要です。大きくなってしまった木への対策は剪定や移植、伐採などがあげられます。
剪定
混み合っていて、日当たりや風通しが悪いなど支障のある枝を剪定します。ただ、樹形を考えないぶつ切り剪定はかえって景観や樹木の生育を妨げる可能性があります。
.移植
支障となる木を敷地内の別の場所に移植するという方法です。緑の量を減らさず、抜いた樹木を再利用できる有意義な方法ですが、大木となってしまった樹木を移植する事はとても難しく大掛かりな工事になります。

伐採
剪定や移植で対応できない場合は、間引き(伐採)を行うというのも一つの手段です。植栽した当初は一本あたりの固体が小さかったためそれなりの本数を植栽してバランスを保っていた箇所も樹木が大きく成長すると年間管理の剪定費もかさみます。
また、大きくなりすぎた樹木が電線などにかかってマンションの構造物そのものに影響してしまう場合もあります。大きな樹木を伐採するときは住民から反対されるケースも考えられます。その場合は住民と一緒に“生活や構造物に支障がないか”“マンションにとって必要な緑であるか”など現状の緑の診断を行い、理解を得てから対象となる樹木を選別して下さい。

②生垣の見直し

例:ヒイラギモクセイ、レッドロビンなど

63-8-3生垣はコンクリ-ト擁壁のように無機質ではなく、緑の壁となりマンションの景観向上にも貢献しています。
しかし、樹種によっては非常に病害虫がつきやすく景観も損なう上、維持管理にコストがかかってしまいます。
また、植栽時に樹木の生長を考えず間隔をあまり空けず列植してしまい過密状態になっている例も見受けられます。
対策と管理方法
生垣によく用いられる樹種の一例として常緑であり可憐な花が咲くサザンカ・ツバキなどが挙げられますが、チャドクガという非常に有害な害虫が発生しやすい樹種です。
生垣は病虫害が発生すると一気に広がりやすいので、樹種の選定と定期的な管理以外にも見回りが必要になります。
病虫害対策
病虫害は、樹種の選択と効果的な管理により防ぐ事が出来ます。もし、長い間病虫害が慢性化している場合は違う樹種に植え替えても良いかもしれません。
過密植栽
マンションの生垣などは、仕上り時に生垣として完成されている必要があるためか、過密状態のところを多く見受けます。
樹木が成長し、根詰まりを起こして枯れてしまう前に間引きを行い、樹形を整えていく必要があります。
<参考>株式会社牧野造園
E-mail:maki@makinozoen.mkgp.jp
URL://makinozoen.mkgp.jp

(大規模修繕工事新聞 第63号)


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