ルール作りの参考に判例、使用細則モデル紹介
前回、ベランダ・バルコニーは共用部分であることを住民に周知し、勝手な使い方を認めず、管理組合がルールを作って使い方を規定することが大切であると書きました。
そこでルールを作る際に参考となる裁判事例を紹介します。
バルコニーに物置を設置した人(賃借人)に対し、物置の撤去を命じた判例です。物置は間口1.5m、奥行90cm、概ね大人ひとり分くらいの大きさでした。
取り外して移動が容易ではないこと、バルコニーの清掃がしにくく、落ち葉がたまり、排水の妨げになること、防水工事の際に移動の手間暇がかかること、外観を悪くしていることなどから、管理組合は「共同の利益に反する行為」であるとして、行為の差し止めを求めました。
結果として美観面、緊急時の避難の妨げとなる機能面、修繕工事への影響、そして躯体への影響等を考慮して総合的に判断され、物置を撤去するよう命じられました。
次いで、国土交通省が発表している中高層共同住宅使用細則モデルです。
○○マンション使用細則
(バルコニー及び屋上テラスでの禁止行為)
第11条 バルコニー等の専用使用権者は、バルコニー及び屋上テラスにおいて、次の各号に掲げる
行為をしてはならない。
一 煉瓦、モルタル、コンクリート及び多量の土砂による花壇等(芝生を含む)の設置又は造成
二 家屋、倉庫、物置、サンルーム、ビニールハウス、縁側、遊戯施設その他の工作物の設置又は築造
三 アマチュア無線アンテナ、音響機器及び照明機器等の設置
四 緊急避難の妨げとなる物品の設置又は放置
五 手すりを毀損し、又は落下のおそれのある物品の設置若しくは取付け
六 多量の撒水
七 その他バルコニー及び屋上テラスの通常の用法以外の使用
判例や使用細則モデルを参考に、それぞれのマンションでもルールの見直しまたは住民への周知をしてみてはいかがしょうか。
(大規模修繕工事新聞 第64号)