今回はよくある住民トラブルをいくつか集めてみました。分譲マンションに住むためには常識や任意の居住ルールのほか、区分所有法や管理規約があり、専有部分/共用部分といった区分けも存在します。いくつかのトラブル例を紹介することで「分譲マンションに住む」ということがどういうことか、垣間見ることができるともいえるでしょう。
トラブル例①
●専用庭の高木
購入した部屋が1階のモデルルームで、専用庭にコールドクレストが植栽されていた。8年の月日で3階まで伸びてしまい、日照や風通しなどの問題が出てきた。上階住民から苦情があったが、1階の区分所有者は自分の好みで植えたものではないと苦情を受け入れず、なかなか折り合いがつかなかった。
●解釈と対応
マンション標準管理規約14条で専用使用権があると認められる「1階に面する庭」(専用庭)について、その部分の管理は同21条で「通常の使用に伴う」管理については専用使用権のある区分所有者の責任と負担があると規定されている。
1階の区分所有者に説明し、所有者による責任と負担を理解してもらい、剪定と小まめな管理をしてもらうことになった。
トラブル例②
●専用庭の生垣の高さ
専用庭の境界を示す生垣について、統一されている高さを、自分で費用を支払っても自分の部屋の前だけ生垣を高くしたいという1階の区分所有者がいた。
●解釈と対応
トラブル例①の植木と違って生垣は、専用庭を囲むフェンスと同じ共用部分であると解釈されることを説明。外観や機能性などは管理組合の管理・責任となるため、管理組合へ意見を述べてもらうこととし、現行では高さの統一に協力をお願いした。
トラブル例③
●樹木の成長
専用庭の樹木の成長によって上階住民から苦情が寄せられたため、1階区分所有者は専用庭の高木の剪定に応じたが、造園業者から伐採・抜根を提案され、再度トラブルとなった。
●解釈と対応
従前より剪定などの管理を小まめにしていればよかったが、木が大きくなりすぎたため、下枝が無く、幹も太くなっていた。
仮に3割残すように剪定しても、今後枯れる可能性が高いため造園業者は伐採・抜根を奨めた。しかし1階区分所有者の「枯れても良いから低くしてほしい」という要望で一旦は切ったが、やはり枯れてしまい、抜根を行うしかなかった。
トラブル例④
●樹木の財産価値
マンション販売時点の樹木はそれほど大きくなかったが、年数を重ねると大きく成長する樹木が増えるとともに、植栽の過密状態から消えてしまう樹木も出てくる。
気に入っていた樹木が減ったことから、マンションの財産価値も下がったというクレームを管理組合に寄せる住民がいる。
●解釈と対応
せっかく植えた樹木だからといってすべての植栽を伐採せずに放置していると過密状態となり、日光が差し込まなく下枝が枯れ上がり、中木層に緑がなくなり、虚弱な樹木が増え、倒木に至ることがある。
樹木が過密状態になる前に、樹木と樹木の枝が触れ合わない間隔で間伐の必要がある。マンション全体の緑化環境を考えることが財産価値につながると説明した。
(大規模修繕工事新聞 第66号)