よくある住民トラブルの2回目。トラブル例を紹介することで「分譲マンションに住む」ということがどういうことかについて、理解をしてもらいたいものです。また、見えないところで大きな問題となり、注意したいのは「根上がり」による排水不良のトラブル。埋設配管を突き破って根が入り込み、管内部を隙間なく塞いでしまうのです。根上がりは施工瑕疵ではなく、経年劣化=管理の範囲となることが少なくありません。注意しておく必要があるでしょう。
トラブル例⑤●老大木の桜を切る派、切らない派
樹高が10mを超えるような老大木の桜で、枝や幹に腐食が進んでいるため安全面を考え、剪定を提案した。この管理組合では、小さいお子様がいる世帯は切る派で、年配の世帯は切らない派の2つに分かれた。
●解釈と対応
よく持ち出されるのが「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざ。昔から桜の枝は切らずに折るほうがよく、梅の枝は折らずに切るほうがよいとされ、何でも切ってしまうのを「馬鹿」と言った。桜は切り口から菌に侵されやすいことから、そう言われるようになったが、今もことわざどおりに桜は切ってはいけないと思い込んでいる人が多い。
現在は桜の切り口に殺菌塗布剤を使用するため、「桜を切る」作業も安心できる工程で行っている。
トラブル例⑥●薬剤散布
アレルギーがあるため薬散をやめてほしい、と一部の住民から管理組合へ申し入れがあった。
また、植栽により皮膚がかぶれる、花粉症、毛虫等の苦情が頻繁にある。
●解釈と対応
薬剤散布の場合は管理組合と住民が話し合い、住民がその日だけマンションから外出するなどの調整をする方法で解決を図った。
その他の苦情については、管理組合の中に植栽委員会を設け、アンケートと取ったり、植栽管理細則や年間作業計画等のルールを策定して、住民の理解を得ることが考えられる。
根上がりによるトラブル
◆放置しておくと
①舗装や植樹桝の蓋が持ち上がり壊れる
②埋設排水管に根が食い込み、破裂させる
③埋設排水管内いっぱいに根が詰まる
◆解説
根が舗装や埋設管を押し上げる主な原因は、土の性質(粘土等固い性質の土)や地下水位の上昇、地下の障害物(コンクリートの基礎等)等による根の生育スペースの劣悪化にある。
本来、地中深くかつ横に広く伸びていくはずの根が、十分な生育スペースを得られないために、より良い環境を求めて地上部付近に伸びてきて、このような問題を引き起こ
している。
根が舗装を押し上げる要因は必ずしも1つであるとは限らない。むしろ、いろいろな要素が重なっていることの方が多いため、調査や、それに伴った対処・管理が必要であり、重要になってくる。
※取材協力:株式会社 牧野造園 //makinozoen.mkgp.jp