アルミ製手すりには根元付近のコンクリートの塗膜がふくれ、錆び汁が漏れ出てくる問題が発生する場合がある。放置すると徐々に錆び汁の量も増えるので厄介な問題だ。
これはアルミ製手すりの内部に雨水が侵入し、コンクリート内部の鉄筋や手すり固定用の鋼材が錆びるために発生する。
アルミという金属はコンクリートや鉄よりも膨張率が大きく、太陽熱により大きく伸縮する。さらには人がもたれかかった際などにも動くので複数の部材で構成されているアルミ手すりは部材間に隙間ができやすく、雨水が中に浸入してしまうのだ。
この問題を解決するにはアルミ手すり根元に穴をあけ防水材を注入する方法が効果的。これまでは液状のセメントスラリーやエポキシ樹脂を注入する方法がとられてきたが、最新技術としては、コンクリートに浸透する防錆材と柔軟なウレタン樹脂を組み合わせ、防錆と防水を同時に行う工法がある。
コンクリートに浸透する防錆材は亜硝酸カルシウムと呼ばれ、コンクリートに浸透し鉄の錆びを赤錆から黒錆に変化させることにより錆の進行を止める。
防水用のウレタン樹脂はソリッドウレタン樹脂と呼ばれ、水より重く、水と混ざり合わない性質(疎水性)であるため手すり内部に水が溜まっていても、これを押し上げ硬化するので施工面を確実に防水することができる
(防水性ウレタン樹脂カスターKP2)。
さらに硬化後も柔軟であるためアルミ手すりの大きな動きにも追随し防水性を保つ。このような処理をした後、塗装の補修を行えば問題が再発することはない。
(大規模修繕工事新聞 第06号)