<大星 賞の判例検証>
管理費等請求事件
使っていないネット利用料も 管理費に含まれる!!
※2012.11.14 広島地裁
インターネット利用料をネット回線の保守料などと合わせて
業務委託契約を締結し、委託料として管理費に含めて一括請求
する管理組合に対して、インターネットを利用していない住民
(Y)が支払義務はないと争った事例。裁判所は、管理組合が
インターネットの利用の有無にかかわらず、その費用を管理費
に入れた管理規約を適法とした。
事件の要点
○ 管理組合は住民(Y)に対し、管理規約に基づき、管理規約
等18万9,442円(インターネット利用料金10万2,010円を含
む)を求めた
○ 住民(Y)はインターネットを利用していないため、利用料
金の支払義務はないと争った
広島地裁の判断
● 本件マンションにはインターネット専用回線等の設備が備え
られている
● 管理会社との間で提供業務のほか保守点検等についても業務
委託契約を締結し、委託料を支払っている
● 各戸からの徴収額2,850円は、全戸合計29万6,400円で、上
記委託料とほぼ同額である
● インターネットサービスの有無にかかわらず、資産価値の維
持・増大に資するものといえ、一律にインターネット利用料
金の支払いを負担すると規定した管理規約は区分所有法第
30条3項に照らしても区分所有者間の利害の衡平が図られ
るかというものではない
● 以上のことから、本管理規約は無効とまでは言えないと判断
し、住民(Y)の主張を退けた
<参考:判例時報2178号>
解説
本件の場合は、インターネットマンションとして売り出され
た例だと推測します。
インターネット回線を全戸で共有・契約することで利用料や
保守費などが低減、つまり本来戸別で月に2,000円かかるもの
が1,500円なるなどのメリットがあるとした上で、販売してい
るのです。
こうしたマンションでは、購入時の売買契約において、重要
説明事項に記載があることが多く、また管理規約の特記事項に
も記載があるケースが多いようです。
一般的には、住戸内でインターネットを利用するかどうかは
専用使用の部分であるので受益者負担を訴えたいところです
が、「インターネットマンション」の条件を気に入って購入し
た人もいるので、区分所有者間の利害関係以前に取り決めた管
理規約を適法としたのだと考えます。
(大規模修繕工事新聞 2013-7.5 No.43)