マンション大規模修繕工事を行う場合、足場の費用は総工事費の15 〜 20%が目安といわれています。しかしこんなにおカネがかかるにも関わらず、実際の工法ばかりに注意がいき、職人が作業する足場は「施工業者任せ」になっているのではないでしょうか。
足場といっても様々なバリエーションがあります。管理組合が足場の選択をすることができるのです。
職人の安全・作業性は重要
これからは住環境や経済性も
これまでの鋼管製の枠組み足場のイメージは、眺望や風通しが悪い、晴れた日に洗濯物が干せない、工事が終わるまでずっと足場を設置したまま、1階部分がふさがれてしまう、など「わずわらしい」と感じているものが多いでしょう。
しかし、足場がなければ、外壁等高所での作業は無理だし、ベランダ等は職人が居住空間を通る必要が生じてしまいます。
足場は施工に欠かせないものですが、それでも足場設置の優先順位は職人の①安全性や②作業性で、居住者のことはあまり考えられていませんでした。
ただ、これまで足場というと一般的に枠組み足場のですが、居住したままの改修工事の市場も大きくなり、居住者のニーズに合わせた足場も必要となっています。
「正月に足場をかけたままだと嫌だから、無理行って年内に工事を終わらせた」「シートで覆われていると息苦しいから工事中は息子宅で過ごした」など、非日常的な空間への不満は昔のものになりつつあります。
つまり工事中でも居住者の生活を考えた③住環境への配慮です。眺望、日照、圧迫感、防犯etc.居住環境に関する管理組合への提案はたくさんあります。
管理組合への提案には当然④経済性も含まれます。工法や材料を安く抑えたとしても、最後は解体してしまう足場の費用が高ければ意味がありません。
足場も施工業者任せから管理組合が選ぶ時代になってきたといえましょう。
(大規模修繕工事新聞 第16号)