災害救助法の住宅応急修理制度の適用の考え方
厚労省のマンション見識不足はひどすぎる!!
東日本大震災による被害マンションに適用するとして平成23年6 月30日、厚生労働省社会・援護局総務課長名で「災害救助法の住宅の応急処理について」通知が出されました。
具体的な応急処理の対象は1世帯当たり52万円の範囲内で、居室、炊事場、トイレ等日常生活に欠くことのできない部分の補修にあてられます。
そもそも災害救助法の住宅の応急処理制度はマンションの共用部分は適用外でしたが、東日本大震災で被害にあった多くの被災マンションからの要望により、国会での審議を経てマンション共用部分への適用についての考え方が整理されたものです。
ところが、厚労省によるマンションの見識不足はひどいものでした。
そもそも「専有部分」を「専用部分」と明記しています。マンションのことを全く知らない人が書いたことだとわかります。
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問題となる主な点は以下の通り。
⑴ エレベーターの補修は2階以上が対象(1階住民は補修しなくても生活できるため対象外)⑵共用階段の被害についても1階住民は対象外
⑶屋上の防水の被害は最上階の住民のみが対象
つまり、共用部分であるにもかかわらず、適用は各世帯となり、管理組合ではないということになります。
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「専有部分」を「専用部分」と書くほどの役人ですから、マンションの共用部分というものを知らないのでしょうね。
一般的にエレベーターの維持管理費用は、1階住民はエレベーターを利用しなくても管理費内に組み込まれ、管理組合の支出項目になっています。
共用階段や屋上防水の経年劣化による修繕は、各世帯の持ち分割合から修繕積立金を集めて実施しています。
「おれは1階に住んでいるからエレベーターを使わねえ。だから管理費を払わねえ」って人、いつの時代の苦笑話でしたっけ?
国の役人がマンションを理解していないことがよくわかりました。
マンション区分所有者のみなさんはそういう役人の態度を肝に銘じて、マンション行政の在り方についてどんどんアピールしていかなければなりません。
(大規模修繕工事新聞 第25号)2012-01