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「民泊」解禁 管理規約改正でトラブル回避を

yomoyamahanashi「民泊」解禁
管理規約改正でトラブル回避を

NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2016年4月5日付第403号「論談」より

マンション、戸建て住宅の空き部屋を宿泊施設として使用する「民泊」が広まっているが、厚生労働省と国土交通省は4月、民泊を旅館業法の簡易宿所に位置づけ、面積要件を緩和するなど、事実上民泊を解禁した。
マンション、戸建て住宅などを中心に、プラットフォーマーといわれる情報仲介サイトを通じて、民泊が半ば公然と行われており、部屋を貸し出すホストは年々増加。
2015年度は5,000人以上、ゲストとされる宿泊者は50万人を超えたといわれる。
東京、大阪など大都市部では数年来、ホテル不足が深刻になっている背景がある。満室を示すホテルの稼働率は80%を超えているという。
4年後の東京五輪・パラリンピックを控え、観光立国を推進する安倍政権は、内閣府の規制改革会議で民泊を旅館業法の適用外とすることを求めた。
一方、厚労省と国交省の有識者会議も、民泊の普及のため、民泊業者の登録制度を設けてトラブル対策とし、住宅地でも民泊を認め、1泊2泊から可能とする内容などを盛り込んだ新法制定を2017年度初めにも目指している。
4月の解禁、また来年の新法による本格解禁に伴い、マンションの区分所有者、賃借人、占有者などが民泊ビジネスに乗り出す恐れがある。家具、設備の調達などの投資もそれほど必要でなく、手軽で儲かるビジネスとされ、管理規約などで厳格に規制しないと、マンションでも広がる懸念がある。
マンション、戸建て住宅とも近年、空き家が急速に増えており、民泊ビジネスが広がる条件がそろっている。
特にマンションでは、監視の目が届きにくい面もあり、民泊が拡大してからでは対応が後手となり、収拾がつかなくなることも予測される。
民泊は外国人の利用が主体のため、生活週間の違いから、夜間の騒音、ゴミ出し等のトラブルが発生する。
こうしたトラブル回避のためには、管理規約、使用細則の整備が必要だ。都心の高層マンションではその対応として、すでに管理規約改正に踏み切ったケースもある。
日住協では民泊に関する規約改正案を検討しているが、①民泊等、短期間の不特定のものに対する貸与を禁ずる②民泊の事実が確認された場合、理事長は区分所有者等に対して調査のため、専有部分への立ち入りを請求できるなどの規定が最低限必要になると想定している。
(NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞 第78号)