川崎市/日商岩井溝の口マンション
第3回大規模修繕は環境変化への対応
建物と居住者の老いで安心・安全を目指す
川崎市高津区の日商岩井溝の口マンション管理組合は12月3日、近隣マンション管理組合役員や修繕委員等を集めて、工事見学会を行った。
当日は約20人が参加した。橋詰泰理事長は冒頭あいさつで「今回の工事テーマは経年劣化と環境変化への対応」と説明。事前のアンケート結果も踏まえ、築34年が経過し建物と居住者の老いが同時に進行している中、「全戸の玄関ドア、アルミサッシ(戸車、クレセント)、サインプレートや階数表示の交換、共用部照明のLED化、外溝アスファルト舗装の修繕等でバリューアップを試み、安心・安全な生活環境の確保を目指す」としている。
規模修繕工事は1、2回目のときから設計事務所がコンサルタントに入る設計・監理方式でを採用、施工会社は競争見積もりにより施工は管理会社に発注選定した。
工事では、これまでコンサルタント、施工会社いずれも相見積もりをとって公平に進めてきたが、1、2回目いずれも同じ会社に決まっていた。「3回目にしてコンサルタント、施工会社いずれもガラリと代えた。これは修繕委員会の英断だった」という声もマンション内で上がっている。
これは管理組合、修繕委員会が「第3回大規模修繕工事実施までの軌跡」(表参照)の中で、勉強や研鑽を積み重ねてきた結果といえよう。工事前の各戸への不具合アンケートも341戸のうち80%以上が回答。建物外観だけでなく設備のアンケートなども含め、今後の工事検討項目も視野にいれる工夫がなされている。
工事見学会時は下地補修、シーリング、バルコニー床防水などの各工事が終盤を迎える段階。工事見学会の参加者からは「先駆者的な先輩マンションとして参考になった」という声が上がっていた。
1月からは戸別の玄関扉改修やサッシ補修工事をはじめ、共用部分も含め、3月末には完工・引渡しとなる予定だ。
(大規模修繕工事新聞 第85号)
12月3日に開いた工事見学会の様子
第3回大規模修繕工事実施までの軌跡
1982 年3月: 竣工
1994年 2月: 第1回大規模修繕工事
2005 年2月: 第2 回大規模修繕工事
2007年6月:給水設備改修工事(増圧直結化)
2008年12月:エレベーター改修工事
2012 年2月: 29年目建物点検指摘・地震被害 個所補修工事
2015年 8月: 建物等調査・バルコニー立ち入 り調査
10月:建物等調査・診断の判定報告
11月: 第3回大規模修繕工事基本設計完了
12月: 建物等事前調査説明会
2016年1月~3月:施工会社選定(公募・書類選考・見積選考・ヒアリング)
2 月: 第 3回大規模修繕工事実施設計確定
3 月: 第 3回大規模修繕工事の工事概要等説明会
6 月: 第 34期通常総会(実施決議※施工会社・工事費・工期等決定)
8 月: 第 3回大規模修繕工事着工( 2017年3 月竣工予定)
工事データ
○工事名/日商岩井溝の口マンション大規模修繕工事 ○建物概要/1982年(昭和57年)竣工・SRC造、一部RC造・地上7・9階建・2棟・341戸 ○発注者/日商岩井溝の口マンション管理組合 ○設計・監理者/(株)改修設計 ○施工者/(株)アール・エヌ・ゴトー
○主な工事内容
・仮設/足場、養生シート設置、中央公園の一部に現場事務所や作業員詰所、資材置場、工事用流し、仮設トイレ設置
・下地補修/コンクリートのひび割れや欠け、鉄筋の露出個所の復旧、高圧水洗浄
・シーリング/壁面の目地やサッシまわり、バルコニー等の手摺支柱付根のシーリング材の打ち替え
・壁面塗装/主に天井や外壁を既存仕様と同等の仕様で塗り替え
・鉄部塗装/メーターボックスの扉、消火栓ボックス等共用廊下にある鋼製品、雨水管、外鉄骨階段、その他バルコニー内や屋上にある鋼製品、駐輪場、バイク置き場の屋根柱梁、ゴミ置き場鉄骨の再塗装
・防水/屋上陸屋根=アスファル防水増貼り、ルーフバルコニー=シート防水増貼り、共用廊下=防滑性シート貼替え
・その他/・アルミサッシ戸車等補修・照明器具交換・A棟エントランス前スロープ改修、手摺設置・ゴミ置き場改修・換気口ガラリ交換・内階段床(既存Pタイル⇒特殊発砲シート下貼り+防滑性シート貼り)
○工事期間/2016年8月1日~2017年3月31日(予定)