マンション格差
35年前に4,000万円で購入した2つのマンションについて、不動産仲介業者から売却査定額を出してもらうと、一方は3,200万円、もう一方は800万円という結果が出た。
なぜこうした格差が出るのか。本書は、マンション業界の舞台裏がどんなものであるのかを克明に記し、その格差の理由を紐解く。
新築マンションの資産価値は、デベロッパー、設計、施工会社等のもくろみが優先し、20年後に中古マンションとなってから、当時の設計デザインや設備・仕様が不要となってくる。
とはいえ、マンションの価値は9割が立地だという。その残りの1割が管理。「管理が機能していないマンションは、見た目が悪くなる。そこに漂う空気の感じも悪くなる。財政も悪くなる。
すると中古としての価値が下がる。優良な管理を行っているマンションと比べて、どんどん格差が広がっていく」とも。
市場から高く評価される中古マンションは管理組合が健全に機能しているケースが多いという。本書のサブタイトルは「あなたのマンションは『勝ち組』『負け組』?」である。
あなたのマンションは?―マンション業界を知るにも有益な一冊といえる。(大規模修繕工事新聞 第81号)
講談社現代新書
『マンション格差』
著者/榊 淳司
発行/講談社
新書判・192ページ
定価/ 740円+税
2016年9月20日発売
ISBN978-4-0628-8388-7