NPO日本トイレ研究所が11月25日、そなエリア(東京臨海広域防災公園)で「防災トイレフォーラム2016」を行いました。災害時におけるトイレ問題が命にかかわる重要課であること、災害用トイレの備蓄の推進に向けて役立つ情報を提供することを目的としています。 日本トイレ研究所はフォーラムの開催にあたって、「排泄のためのトイレ空間はいかなる場合も安心・安全でなくてはならない」と言及しています。トイレが汚かったり使い勝手が悪い場合には、トイレに行かないよう飲食を控えてしまい、それによって脱水症状を起こしたり、東日本大震災や熊本地震ではエコノミー症候群等で命を落とした事例もあったといいます。 一方、水洗トイレは上下水道、浄化槽、電気、給排水設備のすべてが機能して成り立つシステムですが、「現状では災害時におけるこれら各分野の連携は確立されていない」という意見もあります。こうしたことからあらかじめ住民個々に災害用トイレの備蓄を促すことは非常に重要でしょう。 当日展示された災害用トイレを下記に紹介します。
(大規模修繕工事新聞 第86号)
●カンプレット
本体を開いて台座をロックし、便座をのせるだけ。折りたたみ・持ち運び可能。水を使わない吸収シート(ケアバック)5回分付き。定価5,900円(税別)
【発売元】日野興業㈱
//www.hinokogyo.co.jp
●どこでもトイレのドコレット
ダンボール製。工具、接着剤不要。凝固剤で固めて、袋ごと処分するだけ。セット内容は本体プラス給水凝固剤5個、処理用袋5枚。定価3,000円(税別)。目隠し用ポンチョあり。
【販売代理店】㈱ネクスコ東日本ロジテム
//www.e-nexco-engini.co.jp
●リリーフトイレ
ダンボール組立式便器。室内や特設スペースでの使用のほか、既設トイレの和式便器の上にセットしても使用可能。セット内容は本体プラス凝固・消臭剤と汚物処理袋を20回分、交換用便座シート3枚。定価:オープン価格
㈱神田製作所
//www.kanda-seisakusho.co.jp
●ラップポン・トレッカー3
水を使わず、熱圧着によって排泄物を1回ごとに個包装にして切り離す自動ラップ式トイレ。アルミニウム合金製で軽量、コンパクト。本体定価160,000円(税別)。
日本セイフティー㈱
//wrappon.com
断水や排水不可となった洋式便器等に設置して使用する便袋(し尿をためるための袋)
●驚異の防臭袋BOS
排泄後の汚物袋を「驚異の防臭袋BOS」に入れて処理する。処理は1回ずつ、2重の袋で臭い・菌を閉じこめる仕組み。セット内容は驚異の防臭袋BOS5枚、吸水シート5枚、汚物袋6枚から。定価800円(税抜)。
クリロン化成㈱
//www.bos-bos.com
●サニタクリーン
ライフラインの破損により水を流せなくなった便器に被せる災害対策用トイレ袋。吸水シートが袋に圧着された一体構造で、ワンタッチで便器に設置できる。袋とシートの二重構造。セット内容は便袋20枚。定価3,000円(税抜)。
㈱総合サービス
//www.sservice.co.jp/field/disaster
排泄物を凝固し、消臭、除菌する製剤
●バイオ凝固剤「かたまる隊BB40」
排水処理、浄化槽等で使用されている新素材・微生物製剤を使用。バイオの力で悪臭の発生を防ぐ。1包で約450ccを凝固。40包(1日5人分)入り定価7,700円(税抜)
㈱テイト微研
//www.teito.org
●ほっ!トイレタブレット
前もって錠剤を入れるだけの大小便器処理剤。石灰等を主成分とした薬剤が汚物を除菌し、悪臭と腐敗を防ぐ。定価10回分2,000円~(税抜)。
㈱エクセルシア
//excelsior-inc.com
防災トイレフォーラム2016では、新潟大学の榛沢和彦先生が話された「震災時にみられるエコノミークラス症候群について」が印象的でした。
熊本地震では51人がエコノミークラス症候群(症状のある下肢の深部静脈血栓と肺塞栓症)を発症。このうち6人が重症、1人が死亡しました。特に40、50代の女性に発症が多く、トイレに行きたくないために水分も取らないという悪循環が原因だとされています。
榛沢先生は、イタリアの避難所を例にあげ、日本は被災者に対して「いかにヒューマニズムが足りないか」を強調。イタリア被災地の仮設住居の写真を見れば、診療所、警備、食堂…その充実
ぶりは驚くほど。すべては法律のもとにあるのだそうです。日本は地震大国にも関わらず、被災者の仮設住宅をみれば災害対策の先進国とは言い難い。他国に学ぶべきところも多いのではないでしょうか。