1986年12月、マンション大規模修繕、設備改修を手がける改修設計専門会社として設立した。以来30年、改修設計の提案から合意形成のサポート、業者選定のアドバイス、工事監理など、総合コンサルティング業務を行う。この30年、設計コンサルタントとしての培った経験の中から、設計・監理業務について福市博臣社長に話を聞いた。
―30年前と現在、設計コンサルタントの位置づけは変わりましたか?
30年前は多くの管理組合が大規模修繕工事の重要性に気づいておらず、設計・監理方式の理解はほとんどありませんでした。
しかし、管理組合の皆さんとともに味わう工事後の達成感は今も昔も変わりません。弊社では大規模修繕と設備改修の両面のサポートを行うことで、管理組合との長くて深い信頼関係を築くことができました。
工事で大切なのは管理組合、設計事務所、施工会社がお互いに信頼し合うことです。今後も管理組合の立場で提案業務を行い、三者間の信頼関係を築けるようサポートしながら、より良い工事を目指していきます。
―工事監理の重要性を説いています。
工事監理では、管理組合と現場の施工業者との日ごろからのコミュニケーションが大事といえます。何か問題があれば何でも話し合って解決していくスタンスが必要です。
弊社では週2回、終日監理を行っています。現場監理日の業務報告を管理組合に提出したのも弊社が最初に始めたという自負があります。
住民の皆様の利便性と快適さを第一に考えた工事手法の提案は、現場から生まれます。監理もやはりコンサルタントとしての役割が求められているのです。
―コンサルタント選びはどうすればよいですか?
近年では、工事業者選定と同様に設計事務所も相見積もり方式で決めている管理組合が増えてきていますが、基本的に工事業者は工事請負契約、設計事務所は委託契約という違いがあります。
前述した通り、設計事務所はコンサルタントとしての役割が大きいですから、金額だけでコンサルタントを決めた管理組合には金額だけの工事内容、工事業者選定の提案になってしまいがちになるでしょう。
しかし、工事内容には住環境の向上、将来の修繕のための措置など、実際の工事金額に表れない部分もあるわけですから、目先の金額だけで判断すると、後の管理組合の損失につながることもあります。
繰り返しますが、設計事務所は委託契約です。信頼関係があってこそ、マンションの将来を見つめた、いい仕事ができると言えます。
(大規模修繕工事新聞 第87号)