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全建センター「本音セミナー」 大規模修繕100組合の教訓から学ぶ事例研究と考察についてパート2・開閉式パーテンションの紹介

 全国建物調査診断センターは7月23日、東京・京橋の住宅あんしん保証本社会議室で第31回本音セミナーを開きました。㈱リノシスコーポレーション(1級建築士事務所)の佐藤成幸専務が講師を務めた「大規模修繕100組合の教訓から学ぶ事例研究と考察についてパート2」から、その一部を掲載します。<構成:編集部>

<構成:編集部>

事例紹介
◇業者選定は従業員満足度も重視
「住民への配慮など教育が行き届いている」
物件概要/1991年(平成3年)3月竣工・RC造・2棟・13階、14階建て・189戸
(文)
 100の事例の中から、現場代理人選定に関わるものの事例を紹介します。
2011年東日本大震災以降、それらの被害に併せて、大規模修繕工事を具体的に検討していったという内容です。
地震時、外壁のいたるところにひび割れやコンクリートの亀裂が発生。外壁などの調査やアンケートによるバルコニーの状態の確認等、地震による被害の情報収集を行いながら2014年10月、大規模修繕委員会を発足しております。
やはり、戸数も大きいということで、われわれのような立場のコンサルティング会社を導入し、助言を仰ぎながら工事計画を進めていきました。
同年12月、2回目の大規模修繕工事は公募により施工業者12社の応募があり、設計コンサルタントが作成した応募会社一覧評価表をもとに、修繕委員会による評価内容を加えて一次選定、二次選定を行い、決定をしていったということです。
最終的に、業者選定にあたり、施工会社を決めたキーというか理由は何でしたか?という問いに、修繕委員会は「とにかくヒアリングの内容、現場代理人のイメージがよかった」。ヒアリングでは単なる質問への受け答えだけでなく、実際に使用する資材を持ってきたりと、現物をみせることで理事や修繕委員らが関心を持ったということでありました。
また、「企業理念で顧客第一主義はもちろんだけど、従業員の満足度も重視している点の印象がよかった。従業員のやりがいがないとそもそも良い工事にはならないから」とも言っています。
現場代理人の印象がよかったのでここに決めたといっても過言ではないような事例です。
工事中の会社の姿勢についても、進捗状況、告知、アンケートなど広報が細かい、現場代理人の対応が素早い、住民への配慮など従業員教育が行き届いている等、修繕委員会からは高い評価を得たという話でした。


現場代理人と会社、併せた評価が必要

施工会社の現場代理人というのは非常に大事だという話を聞くと思いますが、これはホントそうです。
ただ、正しく理解しておくことも同時に重要です。現場代理人といっても会社構成上は社員なので、組織を超える個人は存在しないと認識しておく必要があります。現場代理人だけを過剰に評価するのではなく、会社と併せて評価していく必要があるという意味です。
現場代理人は1級建築士施工管理技士でないとダメだと勘違いしている組合もあるようですが、そもそも技術者でなければならない法的制約はありません。また、若い人がと技術的に頼りなさそうだとか、高齢だとフットワークが悪く高飛車ではないかとか、こういうイメージの話がすごくよく出ます。じっくりと話をして、聞いて、イメージと先入観では判断しないように。
40代後半くらいの年齢が一番好ましいとどこの管理組合さんも言うのですが、この年代が建築業界で一番層が薄いんですね。そうした方々をほしがると、少し難しいというのが現実です。
より確実で安定した実力のある現場代理人を選定する手法は「賭け」をしないことです。
技術者の離職率が低い会社であることを確認しておいてください。技術とは蓄積され、引き継がれていくものです。さらにリニューアルに特化するのか、新築も手がけるのか、あいまいな会社は教育も充実しません。
工事中のトラブルについて、現場代理人の携帯電話で受け付けるという会社もありますが、台風などのとき、何十世帯を1人で対応できるわけがありません。組織として受け付けられるかどうかでトラブルの対応の仕方が変わってきます。
場合によっては、現場代理人は対応の良い人、管理技術者は技術的能力に長じた人、それぞれを別々に配置することができるか、ということも一考です。
資金が必要な教育に時間と手間をかける会社には優秀な人材が集まりやすいといえます
(大規模修繕工事新聞95号)