冬場マイナス20℃も
光熱費30%節減効果
今年5月に行われた日本マンション学会北海道大会の見学会 で訪れた、千歳市のサーム千歳ドミニオWing3管理組合と札幌 市のイトーピア旭町管理組合の外断熱改修を紹介する。どちら もドイツに本社を置く世界的壁材メーカー・Sto社の日本正規 代理店であるSto Japanが施工を担当した。 File Data.122のサーム千歳ドミニオWing3は6年前の2012 年、1回目の大規模修繕工事とともに外断熱改修を実施。国土 交通省の長期優良住宅先導事業による工事として、補助金3,000 万円を得ることができた。 建物の基礎部分も土を掘って断熱材を設置、共用廊下の窓も Low-E複層ガラスに交換するなど、徹底的に断熱にこだわった 工事となった。 管理組合の住民によると、この地域の冬場はマイナス20℃ になるという。「でも外断熱改修をしてから暖房機や灯油を使 うことが少なくなり、光熱費が30%減った」と、外断熱の効果 を実感しているという。
(大規模修繕工事新聞108号)
工事データ
○工事名/サーム千歳ドミニオWing3外断熱改修
○建物概要/ 1992(平成4)年11月竣工・RC壁式構造・地上5階建て・118戸
○発注者/サーム千歳ドミニオWing3管理組合
○設計・監理者/ ㈲大橋建築設計室 ○外断熱改修施工者/Sto Japan㈱
○主な工事内容 ①屋上 ・既存/アスファルト露出防水保護塗装(2008年改修済み)
内断熱材:屋根スラブ下発泡ウレタン30mm ・改修/ 既存防水層を残し、外断熱材(硬質ウレタンボード 50mm)+改質アスファルト露出防水
既存アルミアングル笠木の再利用、斜め笠木の新設 ②外壁 ・既存/コンクリート打ち放しの上に石目調吹き付け塗装
内断熱材:外壁面発泡ウレタン30mm、基礎回りFP板 30mm打ち込み
*共用部分廊下の外壁面は無断熱 ・改修/ 湿式外断熱工法 *外部階段の外壁は吹き付けタイル 仕上げ
外壁:EPS断熱材75 mm、高耐久塗材仕上げ(Sto)
基礎回り:XPS断熱材50mm、樹脂モルタル15mm(ダ ウ化工)
③建具工事 ・既存/専有部分:樹脂サッシ複層ガラス入り
共用部分:アルミサッシ単板ガラス入り ・改修/専有部分、共用部分ともにLow-E複層ガラスに交換
アルミサッシ枠は断熱塗材塗布、水切り材の延長 ④換気口等 ・改修/換気口の延長および換気フード交換 ⑤バルコニー ・改修/ 現状モルタル防水金コテ、浮き割れ部分を撤去し、全 面ウレタン防水、アルミ手摺一部切り詰め補修
住戸隔て板:既存枠スチール製からアルミ製に新規交換
防暑対策としてブラインド・すだれ設置用のフック設置
⑥その他/ 玄関スロープ新設および風除け室の両開きドアを自動ドアに交換、内部廊下および階段室の床、壁、天 井補修、管理棟の外壁改修
○工事時期/ 2012年
湿式外断熱工法を採用
共用廊下部分に75mmの 断熱材を貼りつけ
窓はLow-E複層ガラスに交換
アルミサッシ枠は断熱塗材を 塗布し、水切り材を延長