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管理組合役員勉強会「大規模修繕、知らないと損する『失敗の研究』」<紙上採録>①

全国建物調査診断センター
管理組合役員勉強会「大規模修繕、知らないと損する『失敗の研究』」

<紙上採録>12 / 15 東京・京橋 住宅あんしん保証本社会議室にて

全国建物調査診断センターは12月15日、東京・京橋で管理組合役員勉強会「役員さん、大規模修繕工事の備えは十分ですか?」
を開きました。
勉強会第1部は「大規模修繕、知らないと損する『失敗の研究』」と題して㈱リノシスコーポレーション(1級建築士事務所)の佐藤成幸常務取締役が、第2部は「給排水管改修質問攻め、何でも来いや~」と題してマンション設備改修専門会社である㈱スターテックスタッフが講演を行いました。
当日は約30人の管理組合の方々が参加。リピーターも多く、大きな反響を得ました。
佐藤氏の第1部「大規模修繕、知らないと損する『失敗の研究』」を数回に分けて紙上採録します。次回の勉強会予定は3月23日です.


大規模修繕、知らないと損する『失敗の研究』①

技術的なエースを配置してほしい…けど?

私のマンションには良い現場代理人を求めたい…「技術的なエース級に来てほしい」という管理組合さんが少なくありません。
果たしてそうした配置が可能なのかどうか。みなさんは施工会社に言えば、そうした人が「来てくれるんだろうな」と思っているかもしれません。
総務省統計局の「労働力調査」によると、建設業の就業者数は2006年558万人→2010年472万人で、この5年間で約86万人減っています。すさまじい減り方です。
こうした社会的背景の上で、当社リノシスコーポレーションがまとめた表が下記です。

49-16-01

当社では、工事の監理をした施工業者は全国で80社を超えます。年間入札件数はほぼ200件ありまして、膨大な数の見積書、同時に所属の技術者・有資格者のリストを徴収しております。
そのひとつの例で、改修専門の大手A ~ D社をまとめました。
監理技術者(法令により再下請額4500万円以上の工事を行う場合に必要な資格)の専任の配置がどのくらいできるのか。全従業員に対してのそれらの資格者割合はどのくらいなのか、パーセンテージで出しました。
49.5%と突出した会社もありますが、3割前後であることがわかります。全従業員ということは営業、事務部門の人間も含めた人数になり、現場へ配置できない資格者もいるので、この数字よりも若干低くなるかもしれません。

すなわち1級の人間来てくれよ、といってもこのくらいの人数しかいなんです。
この中でさらにエースのような人間の配置を、「はい、わかりました」とできるかどうか。
この数字を踏まえた上で、考えると「エース」にこだわると、リスクを負いかねないことがわかります。
会社としても宝の「エース」はどういったマンションに配置されているのか。企業としては最大限の経営効果を狙うのが、原則であり、常識です。
難易度の高い物件、受注した限りこの人の実力でなければできない物件に配置するのが常套です。
次にその工事に広告・宣伝効果がある。波及効果があるものですね。経済的メリットもあります。過去と直近の継続性のある物件もあります。
ただし、すべては施工会社側の判断なのです。みなさんが「ああしてくれ、こうしてくれ」といっても、施工会社が決めることには変わりありません。
そうなると、「エース」の配置に会社としては、大住戸数、超高層タワー、塗装や防水以外の工事がある、地域的に起爆効果がある立地である等の条件が出てくるのは当然です。
例えば、住戸数100戸未満の中低層ファミリー型マンションに「エースを投入します」なんて、話があれば、それはその会社は大丈夫なのかな?と逆に不信になります。
「エース」は引く手あまたです。「エースを用意していた物件が急にキャンセルになりまして」などという営業トークは怪しまなければなりません。
現場代理人について、会社が「心配ですけど」というはずがありません。「絶対大丈夫です」というに決まっています。若ければ「次のエース候補です」くらいいうでしょう。
100点でなくても、0点ではありません。次は、安定で確実な現場代理人の選定方法です。(つづく)

(大規模修繕工事新聞 2014-1.5 No.49)


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