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現金事故を防ぐポイント④

最大手のマンション管理会社の元社員が管理組合の管理費等を不正に引き出し、横領していたなどとして昨年12月、国 土交通省中部地方整備局に同社の名古屋支店が管轄する愛知、岐阜、三重、静岡の4県で業務停止命令の処分を受けました。 こうした事案はなかなかなくなりません。「現金事故を防ぐポイント」と題して、その一例を紹介するシリーズです 〈協力:双日総合管理㈱ 難波純一〉

<事故事例6>
 フロント担当社員が管理組合の資金を着服した事例。
 管理組合の銀行預金の払い出し請求書に、不正に銀行届出印を取得し て現金を引き出していた。フロント担当社員は同じマンション に10年以上勤務。
 また、そのフロント担当社員は出納会計業務を兼務している 状況を利用し、会計報告書を改ざん。銀行残高証明書を偽造し て報告し、発覚を免れていた。
 上司の承認についても、通帳残高と会計報告書の残高チェッ ク、銀行残高証明書原本の確認を怠ったことが問題となった

<再発防止策>
①管理組合に理事長印等の取り扱いの留意事項を周知する。
② フロント担当社員による理事長印の保管、なつ印代行、予備 の払戻請求書へのなつ印を禁止する内容を業務記述書等に記 載する。
③ フロント担当社員による出納業務を禁止し、出納会計担当社 員が行う体制とする。
④ フロント担当社員、出納会計担当社員、内部監査部門担当者に よる、通帳原本および預金残高証明書原本の確認体制とする。
⑤ 改ざんが困難な会計ソフトに切り替えた上、出納会計担当者 が月次決算報告書を作成する。
⑥通帳レス、ファームバンキングを導入する。 ⑦定期的な人事ローテーションを行う。
⑧ 内部監査部門が適切に機能するために、熟達した専門的能力 を持った人材を配置する。

<事故事例7>
 マンション管理部の課長でもあるフロント社員が着服した事 例。
マンション会計部が承知していない管理組合の銀行口座の 通帳・印鑑を預かり、偽装した請求書や業務指示書を用いて、 当該口座へ送金し、出金・着服を繰り返していた。
 漏水事故等による保険金請求においても、保険会社に対して、 損害保険金本体については正規の管理組合の銀行口座を指定・ 入金させたが、「臨時費用保険」の保険金支払いについては別口座を設け、入金させ、着服していた。

<再発防止策>
① 管理会社マンション会計部が承知していない銀行口座につい ては、管理組合と協議し、管理組合決算の中に取り組むこと を推奨するとともに、それが困難である場合には、当該口座 の存在について、管理会社に登録していただく。
② 重要事項説明書、決算報告書に「従業員は、管理組合が保管 している通帳・印鑑・キャッシュカード等を預からない」旨を記載する。
③ 保険金請求業務を職務分離し、フロント担当社員が属しない 部署において担当する。 ④ チェック機能を確保する観点から、課長職以上のフロント兼 務を解消する。

(大規模修繕工事新聞 110号)