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マンション設備の改修 <解説と事例> マンション設備のこぼれ話

仮設配管を甘くみて下階が大洪水
 マンションでの漏水は建物や配管が老朽化して発生するだけではありません。
 筆者が経験した中で一番の漏水事故は、200戸のマンション での共用部分の給水管更新工事中に発生しました。
 共用部分の給水管を交換する場合、共用廊下などに仮設の給 水管を塩ビ管で設置します。塩ビ管は管と継手を専用の接着剤 で接合します。この接合は一見簡単なように見えますが、甘くみているととんでもない事態が発生します。
 その現場では80Aの継手接合の管理が甘く、夜中に継手がすっぽ抜けてしまいました。
 専門家の方ならこれがどれだけの事故を巻き起こすか想像できると思います。4階の横引きピット内で発生したため、その ピット内はまるで川のような状態になり、ポンプは運転し続けてピット内水深が1m近くなりました(事例マンションは4階 以上が共同住宅、3階以下が店舗・倉庫という建物。この場合、 用途別に区画するため共同住宅の横主管は4階に配管ピットを 作る)。
 4階から下の事務所や倉庫は大洪水のように水浸し、ウエス(機械油等を拭き取る布)やスポンジで水を吸い取る作業が意 味の無い状態になりました。
 事故対応で作業員100人近くをすぐにかき集め、作業を行う中、住民の方々がたくさん集まり怒号の嵐。そのときは針のむしろ状態でした。
 災害が施工会社のミスが原因で、マンション内で発生したのですから当然です。
 仮設配管を甘くみている施工会社をチラホラ見かけます。
「(この会社は)痛い目にあっていないな…」とつい思ってしま います。仮設配管もキチンを施工する!こんな施工会社を選択 して下さい。


雨水管詰まり原因のEVが停止
 マンションでの漏水事故で、少しやるせない思いをした漏水事故の話をします。
 高架水槽(マンションの屋上にある給水用の水槽)の補修工事を行おうとした際、最初に高架水槽の水をすべて抜きました。
  高架水槽のから抜いた水は、高架水槽底面にあるドレン配管から、マンション屋上の床を流れ、雨水排水管に流れ込んでいきました。たいていのマンションは同じようなつくりになってい ると思います。
 排水作業も終わり、さあ水槽内部で補修作業を行おうとした 時、管理員から「(最上階の)11階共用廊下が水浸しになっている!しかもその水がエレベーター内に侵入している!」との 連絡が入りました。
 すぐ作業を中止し、屋上から11階に行ったところ、11階共用廊下が水浸しになっていました。雨水排水管が11階部分でゴミが内部に詰まっており、水が流れず11階床上にあふれ出 たのです。
 運の悪いことにその水がエレベーター内部に流れ込み、エレベーターもストップせざるを得なくなりました。
 これも大クレームです。漏水というよりも、エレベーターが 使えないことによるクレームです。
 エレベーター会社に連絡しすぐ動かしてほしい!と伝えたところ「すぐ動かすのは、エレベーター破損の恐れもあるので、 1日以上様子を見たい」と言われ、その日はエレベーターが使えないという事態になってしまいました。
 「これは当社だけが悪いのだろうか…」とも思いましたが、 真摯に受けとめ、復旧に全力を尽くしました。
 水を甘く見ていると、思わぬところから事故が襲ってきます。

<文/全国建物調査診断センター・ 給排水設備担当:淵上>

(大規模修繕工事新聞 112号)