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「隠されている『工事失敗』の現実」パート2

67-4-14月26日.、東京・京橋の㈱住宅あんしん保証本社会議室で全国建物調査診断センターと建物修繕技術協会が主催し、毎回好評を博している管理組合役員勉強会を行いました。その1部として、㈱リノシスコーポレーション(1級建築士事務所)佐藤成幸専務取締役が講師を務めた「隠されている『工事失敗』の現実」紙上採録の2回目です。

事例紹介④ 施工者選定の失敗1

物件概要:SRC 地上13 階建て・11 棟・686 戸

◇経過
施工者選定に際し、公募して20社が集まり、そのうち16社に見積もり依頼をした。
設計見積金額は9億7,700円であったが、その結果、見積額は約5億5,000万円~約8億5,000万円と差が開いた。
その後、11社にヒアリングを実施。1社当たり、プレゼンと質疑応答を含めて30分程度。引き続き、選定作業を行い、結局最安値の会社に決定した。
しかし、工事竣工後1年経たずに施工会社が民事再生の申し立てを行い、債務免除で合法的に保証事項がすべて白紙となった。

◇失敗の分岐点
そもそも設計コンサルタントは公募の時点で、最終的に選んだ施工会社の経営状況や財務状況が悪化していることを把握していたので、見積依頼自体を実施しないように助言していた。
それにも関わらず「見積もりだけでも」と管理組合が見積もりを依頼し、その結果、「最安値」という事実を入手してしまった。
実際、11社という多くの会社に対してヒアリングを行ったため、表面上のことしか聞き取りができず、ヒアリングではまったく差がつかない結果を得たようだった。最終選定では委員全員が疲労困ぱいして冷静な判断ができず、また安値をくつがえす理由がみつからず、結局採用したのが問題の会社だった。
◇後日談として
1年目点検以降の点検行為、ならびに保証がすべてなくなったことに関して、具体的な瑕疵事項が発生していないのにも関わらず、管理組合内部での当時の理事や委員への誹謗中傷が起こるようになった。
理事会への参加率も減った。施工会社は民事再生のため、存続しているのだが、ストレスが相当なものだという。管理組合の中には、やめるよう助言した設計コンサルタントにも不信が残った。
内部にも外部にも気まずい思いしか残らない結果となった事例である。

事例紹介⑤ 施工者選定の失敗2

物件概要:SRC・RC 造、地上10 階建て・124 戸

◇経過
最終的に残った施工会社3社のヒアリングを実施し、修繕委員会を通して理事会が1社に決定した。
総会承認の準備を進めていたところ、決定した1社に対して強硬な反対を申し入れていた1人の修繕委員が納得せずに一般の住民を巻き込んで阻止運動を行った。
その圧力に屈して、理事会が決定を白紙に戻した。改めて3社のヒアリングを実施。結果、反対運動を起こした修繕委員が推薦する会社に決まった。
◇失敗の分岐点
設計コンサルタントは理事会、修繕委員会に対し、白紙行為については反対で法的措置をとるという断固たる姿勢を示すべきだと助言していた。しかし、反対者の圧力に屈し、反対者の言うことを聞いて、客観的な視野がとれなくなってしまっていた。
施工者選定時に俗人的な要素は不必要。あくまで客観性が必要だった。
◇後日談として
ゴリ押しした施工会社に決定したあと、当該委員は委員会へは一切出席しなくなった。工事説明会にも出席していない。
他のマンション住戸も所有しており、そちらへ住んでいるとのこと。他のマンションの大規模修繕工事を専門としている施工会社に聞いたところ、そうした業界事情に詳しい人だという話…。

(大規模修繕工事新聞 第67号)


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