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国土交通省/ 老朽マンション再生へ 9種のマニュアルを作成

令和8年4月から改正マンション関係法が施行されましたが、これに合わせ、国土交通省では9種の「マンション再生マニュアル」を整備されています。
国土交通省 マンション再生について
//www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000050.html


  今回の法改正とマニュアル更新の大きな特徴は、「建替え」一辺倒ではない、多様な選択肢が示されたことです。
 これまでは余剰容積を活用した建替えが主流でしたが、今後は工事費の高騰や資金力の不足により、それが困難なケースが増えることが予想されます。
 新たな指針では、建替えに加え、共用部と全専有部を一体的に改良する「建物更新(一棟リノベーション)」や、敷地を売却して関係を解消する「マンション敷地売却」、さらには維持管理が困難な場合の「除却(取壊し)」といった手法が、多数決決議で実施可能となりました。
 管理組合にとって最も大切なことは、自分たちのマンションの現状を客観的に把握し、最適な手法を選ぶことです。
 マニュアルは、初期の「準備段階」から「検討段階」、そして「計画・実施段階」へと進むプロセスを明確に示しています。
 特に初動期においては、有志による勉強会を立ち上げ、将来のビジョンを共有することが欠かせません。改修と他の再生手法の効果や費用を総合的に比較することが、円滑な合意形成への第一歩となるのです。
 さらに生命や身体に危険を及ぼす恐れがあるマンションについては、迅速な対応が求められます。
 耐震性不足や配管の腐食などが一定の基準に該当し、「要除却等認定」を特定行政庁から受けることができれば、容積率や高さ制限の緩和といった特例措置を受けることができます。
 安全性を欠く建物が放置されることは、地域社会全体の課題です。
 管理組合はこうした制度を能動的に活用し、資産価値の維持と居住環境の改善を急ぐべきです。
 また、団地型マンションにおいては、棟ごとに老朽度やニーズが異なるという特有の難しさがあります。これに対し、マニュアルは特定の棟のみを先行させる「棟別再生」や、敷地を分割して再生する「敷地分割」といった柔軟な手法を解説しています。大規模な団地の再生は地域全体の活性化にも直結するため、周辺地域との連携も視野に入れた検討が重要となります。
 マンションの再生は、あくまで区分所有者の自助努力が基本です。
 しかし、数億円単位の事業を個人の力だけで進めるには限界があります。国や地方公共団体は、相談窓口の充実や情報提供を一層強化し、マンション管理士や建築士といった専門家を円滑に活用できる環境を整えなければなりません。
 再生への議論を先送りすれば、それだけ選択肢は狭まり、費用負担も重くのしかかります。区分所有者一人ひとりが、自らの住まいの「終活」を自分事として捉え、将来に向けた対話を今こそはじめるべきです。
 新しいマニュアルが、安心・安全な都市生活を次世代に引き継ぐための実実務的な羅針盤として広く活用されることを切に期待しています。

<全建センター・大規模修繕工事新聞論説委員会2026-6-02>

大規模修繕工事新聞 2026-05 197号