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大規模修繕工事新聞2026年10月 第202号

全建センター/「マンションAI®」活動員・AI理事長サービスを開始

 

全建センターではこのほど、「マンションAI®」活動員・AI理事長サービスを開始しました。
大規模修繕および給排水設備改修や長期修繕計画などにおいて、より良い決断をするために、『マンションAI』が認定した第三者に「継続的に意見と行動を求める制度」です。
AI理事長サービスは以下の各種内容を提供できます。

 

 

対コンサルタント会社①調査診断報告書の妥当性
②工事設計内容の妥当性
③工事費用の設計概算価格の妥当性
④施工会社選定方法の妥当性
⑤施工会社に関する評価
⑥管理者検査の妥当性
⑨アフターサービス点検、瑕疵対応の評価
対管理会社①長期修繕計画の妥当性
②管理会社に関する評価
対施工会社①工事請負契約書内容の妥当性
②現場代理人の資質に関する評価
③施工会社の検査の妥当性
④アフターサービス点検、瑕疵対応の評価
 
活用事例
Case1
コンサルタント会社主導により、施工会社が決定した。だがどうもマージンの上乗せや癒着の懸念がぬぐえない。本当に間違いない施工会社を選定しているのかセカンドオピニオンのプロ目線で判定してもらいたい。
Case2
管理会社が無料というので、調査診断を頼んだら、すぐに大規模修繕工事を実施しないとたいへんなことになるという報告を受けた。本当に工事をしないとダメなのか、セカンドオピニオンのプロ目線でのアドバイスがほしい。
Case3
管理会社から概算工事費用が提出されたが、どうも相場より高額の疑いがあるので、セカンドオピニオンの目線で査定してほしい。
Case4
給排水設備の改修工事を工事会社やコンサルタントに相談したため、セカンドオピニオンのプロ目線でのアドバイスがほしい。

詳しくはこちらまで。
//zenken-center.com/airt/

メールでのご相談
info@zenken-center.com

マンション管理業者に対する監督処分/国土交通省 元従業員による着服3件

 国土交通省が2026年4月~8月に発表したマンション管理業者に対する監督処分は下記のとおりです。この行政処分等情報は、国土交通大臣、各地方整備局長等がマンション管理業者に対して行った処分等を定期的にとりまとめたものです。
 元管理員による着服が2件(近鉄住宅管理㈱、大和ライフネクスト㈱)。㈱ビケンテクノの件は、元課長(フロント担当)が14管理組合から9年間にわたり、約9億円もの金額を着服した事件です。元課長は懲役5年6カ月の実刑判決を言い渡され、ビケンテクノは令和8年5月19日から令和8年9月15日までの120日間、マンション管理適正化法82条に基づく業務停止命令が下されました。 マンション管理適正化法81条に基づく指示処分では、今回の違反行為の再発を防ぐため、①役職員への速やかな周知・徹底、②社内研修・教育計画の作成、継続的な実施、③日常の業務運営に関しての調査・点検、社内の業務管理体制の整備、④適切な再発防止策の策定、継続的な実施といった措置を講ずることが指示されました。

 国土交通省によるマンション管理業者に対する監督処分のうち、㈱ビケンテクノ(本社:大阪府吹田市)において発生した横領事件について、少し深掘りします。

 


【事件の概要】
 同社の元マンション管理課長(60代男性)が、受託していた14管理組合の通帳や印鑑を悪用し、修繕積立金などの預金を不正に引き出して着服・横領していた事件です。
【主な経緯と被害状況】
2023年11月頃、当該社員と連絡が取れなくなったことを不審に思った同社が調査を行ったことで、長年にわたる不正引き出しが発覚しました。
不正行為は2015年~2023年にわたり行われており、被害管理組合は14で、被害総額は約9億1,000万円。マンション管理組合の財産横領としては史上最大級の規模とされています。
【立件と逮捕】
2025年1月、大阪府警はまず大阪市中央区の管理組合の積立金など約4,700万円を着服した業務上横領の疑いで元管理課長を逮捕しました。その後も追起訴や部下に対する詐欺容疑などでの立件が進められました。
2025年9月、大阪地裁は元管理課長に対し「長期間にわたり巧妙かつ悪質」として懲役5年6月の有罪判決を言い渡しました。
【発覚の背景とガバナンスの問題点】
1.印鑑と通帳の「分別管理」の形骸化
マンション管理適正化法では、不正防ぐために預金通帳と実印(印鑑)の保管者を別々にする「分別管理」が義務付けられていますが、同課ではこれが遵守されておらず、元社員が口座を自由に着服・操作できる状態になっていました。
2.業務の長期ブラックボックス化・形骸化したチェック
元課長が一人で同一の会計・管理業務を担当しており、社内チェックや相互牽制体制が機能していませんでした。
3.管理手順の未明示
社内において、標準的な業務手順書や管理ガイドラインに基づく運用が文書化・徹底されていませんでした。

【ビケンテクノの再発防止策】
事件を受け、外部の専門家(弁護士・公認会計士)を交えた調査委員会が立ち上げられ、以下の組織的な再発防止策が策定・実行されています。

1.マンション管理課における体制強化
・マンション管理適正化法に即した業務手順を徹底して文書化
・担当者一人に権限が集中しないよう、構成員同士による相互牽制機能(ダブルチェック体制)の実効性を向上
・選択肢の一つとして、マンション管理業務自体をグループ会社へ承継・分離することも検討
2.管理・監査部門の強化
・経理部:マンション管理課に対するチェック・牽制機能を強めるため、管理職人員を拡充
・監査室:法的な規律や業務特性に着目した専門的な監査方針を策定し、人員を増やして内部監査を充実化。


【事件後の対応と影響】

 ビケンテクノ側は自社の管理体制の不備を認め、被害に遭った各マンション管理組合に対して損害賠償義務を負うものとして、全額返還・補償手続きを進める方針を示しました。
 国土交通省からは2026年4月に業務停止命令などの監督処分を受けました。会社側は全額の被害補填を行い、上記のようなガバナンス体制の刷新を進めることで、信頼回復の途上にあります。
 会社の業績に与えた影響は一時的に甚大でしたが、一方で、本業であるビルメンテナンス事業やホテル事業などは非常に堅調だったため、企業の存続を揺るがすような業績・株価の致命傷は避けられたと報じられています。

第82回管理組合オンライン・セミナー採録 『談合問題解決は、まず長期修繕計画の見直しから』

 一般社団法人全国建物調査診断センターが8月30日に配信開始した第82回管理組合オンライン・セミナーの抜粋・採録です。今回は、『談合問題解決は、まず長期修繕計画の見直しから』をテーマに、一般社団法人全国建物調査診断センター所属・瀬川香里氏(アバター理事)による講演の様子を紹介します。


 本日のテーマは、「談合問題解決は、まず長期修繕計画の見直しから」。そしてAIロボット活用と、マンション管理士が監修した新しい長期修繕計画見直しサービス、新しい建物診断書の考え方、資金計画の見直しと住民合意形成の進め方まで、分かりやすくお伝えしていきたいと思います。


近年、マンションの大規模修繕工事をめぐっては、管理会社や設計・監理事務所、工事会社による談合問題に端を発する、工事業界の発注の透明性や工事費の妥当性に対する関心が、日に日に高まっています。
その中で、私たち全国建物調査診断センターが本日お伝えしたいのは、問題の本質の一つは、工事の実施段階だけにあるのではなく、その前段階である長期修繕計画の立て方、見直し方、そして管理組合の意思決定の組み立て方にもあるという点です。
本日のセミナーでは、AIロボット活用と、マンション管理士が監修した新しい長期修繕計画見直しサービス、新しい建物診断書の考え方、資金計画の見直し、そして住民の合意形成の進め方について、わかりやすくお伝えしていきたいと思います。

本日のテーマは、大きく分けて6つです。
1.なぜ今長期修繕計画の見直しが必要なのか
2.なぜ大規模修繕工事の談合問題と長期修繕計画の見直しがつながるのか
3.全国建物調査診断センターがサービスを開始する、AIロボット活用、マンション管理士監修、新しい建物診断書を組み合わせた見直しサービスの特徴
4.モデルケースによる具体的な費用差と資金計画
5.住民の皆様とどう合意形成を進めていくか
6.管理組合が今日から何を始めるべきか

 

 

講師:瀬川香里氏 一般社団法人全国建物調査診断センター所属/アバター理事

1.なぜ今、長期修繕計画の見直しが必要なのか
 最初に、なぜ今このテーマが重要なのかを再確認しておきたいと思います。
皆様のお手元にある長期修繕計画は、あくまでも作成時点での前提条件に基づくものです。マンションの劣化の進み方、各種設備の使用状況、居住者構成、さらに近年の物価上昇や工事費高騰などを考えると、作成時点の計画のまま、将来まで通用するとは限りません。
 つまり、長期修繕計画は一度作って終わり、の計画ではなく、建物の現状に合わせて常に見直し続ける計画だということです。
 今回我々がAIロボットを活用して作成したサービスでは、見直しが必要な理由として、蓄年数の経過とともに当初の想定と現実とに確実にズレが生じること、足場共有や前倒し工事実施の判断によって、全体のトータルコストを抑えられること等が示されています。
 モデルケースでは、現在の修繕積立金が月額1万2,000円のまま維持された場合、30年後に約9,300万円の不足が見込まれるとされています。
 この不足はある日突然起きるわけではありません。見直しを先送りしている間に静かに積み上がっていくものです。
だからこそ、問題が表面化する前に動き出す必要があるのです。


2.なぜ大規模修繕工事の談合問題と長期修繕計画の見直しがつながるのか
 談合というと、入札や見積もりの場面を思い浮かべる方が多いと思います。
 しかし実際にはそのもっと前、つまり何を、いつ、どの規模で、なぜ実施するのかが曖昧なまま進むことが不透明な発注につながってしまうことが、談合の土台になっていると言えます。
 管理組合側に十分な判断材料がない、建物診断の内容が難しくて整理しきれない、工事の必要性や優先順位が見えにくい、住民説明の材料も足りない。
このような状況では、どうしても受け身の意思決定になってしまいます。
 長期修繕計画を見直すことで、管理組合は、なぜこの工事が必要なのか、なぜこの時期なのか、他の選択肢はないのかを自分たちの言葉で説明できるようになります。
ここに、長期修繕計画見直しと談合対策がつながる本質があります。


3.全国建物調査診断センターがサービスを開始する、AIロボット活用、マンション管理士監修、新しい建物診断書を組み合わせた見直しサービスの特徴
  本サービスの特徴は、中立的立場で、マンション管理士監修、AI分析、新しい建物診断書を組み合わせている点にあります。
  まず中立性です。管理会社や施工会社の立場ではなく、第三者として計画を見直すことで、管理組合として住民に説明しやすい土台を作ります。
  次に、AIによる分析だけでなく、管理組合運営実務・法務、管理組合の合意形成の観点を含めて、経験豊富なマンション管理士(国家資格)が実行可能な計画へと整えます。
  さらに、AIは、最終判断を行う存在ではなく、過去データや工事項目の関連性、時期調整の可能性などを整理し、比較しやすい形で見える化する補助者サポーターとして機能します。
  そして、新しい建物診断書です。これまでの経緯を踏まえ、建物の現況を丁寧に把握し、その実態に合った見直しを行うことで、機場だけでない現実的な長期修繕計画につなげます。進め方は、4つの段階(調査診断計画、見直し、資金計画調整、合意形成)で整理されています。

 


4.モデルケースによる具体的な費用差と資金計画
 ここからは具体的な数字を見ていきます。
 モデルケースとして示されているのは、東京都にある、RC造・15階建て・50戸・築15年のマンションです。
 こちらを今回のサービス検証で行った結果をお示しします。
 このケースで修繕積立金が月額1万2,000円のまま据え置かれた場合、30年後に約9,300万円の不足が見込まれるとされています。
 一方、工事内容の見直し時期の最適化、工事項目の統合などを行うことで、30年間の累計修繕支出は見直し前の約4.19億円から、見直し後の約3.98億円、圧縮され、約2,100万円の削減余地があると示されています。
 この削減は単なるコストカットではありません。
 工事そのものをやめるのではなく、足場の共有関連工事の同時実施、劣化状況に応じた前倒しや後ろ倒しなど前提最適の視点で組み直した結果です。
 つまり修繕費は何をやるかだけではなく、どのように組み立てるかで大きく変わります。ここに我々がサービスを開始する長期修繕計画見直しの大きな価値があります。
 例えば、屋上防水は単体で見ると金額が増えるように見えることがあります。
 しかし、他の工事と同時に行うことで、足場費や工程全体の効率化につながることがあります。
 シーリング工事も同様です。早めに手を打つことで漏水や外壁劣化の二次被害を防ぎ、結果的に将来の大きな補修費を抑えられる場合があります。
 また、大規模修繕工事そのものもただ先送りすれば良いわけではありません。建物の状態によっては少し前倒しする方が全体として合理的なこともあります。
 つまり見直しとは工事を減らすことではなく、建物の実態に合わせて計画全体を再配置することです。こうしたことを含め、修繕積立金の見直し、修繕積立金の値上げは、多くの管理組合で最も難しいテーマとなっています。

 ただし、修繕積立金をどうしても値上げしなければダメか、あるいは、値上げをしないかの二択になりがちですが、本当に大切なのは、どのような値上げの理由なら、住民の納得を得ながら将来不足を避けられるかという視点です。
 今回示されている考え方では主に3つの方向があります。一つ目は現状維持です。月額1万2,000円のままで進める案ですがこの場合は30年後に約9,300万円の不足が見込まれます。2つ目は一気に引き上げる案です。
 早い段階で18,000円へ改定することで、資金不足を回避しやすくなります。3つ目は段階的な改定です。
 今回の提案では、6年後に15,000円、16年後に18,000円という2段階の増額案が示されています。
 この段階的改定の利点は、急激な負担感を抑えながら必要な資金を計画的に確保できる点です。
 また、比較資料として2018年度の平均修繕積立金額が15,257円であることも示されており、18,000円という水準が極端に高すぎるものではないことも読み取れます。
 積立金の見直しは、単なる値上げの話ではありません。
 将来、一時金徴収や借り入れとなることを避けるために、今どう備えるかという問題です。


5.住民の皆様とどう合意形成を進めていくか
 長期修繕計画の見直しで最後に必ずぶつかる問題が合意形成です。
 どれほど合理的な計画でも、区分所有者の皆様に伝わらなければ実行できません。理事会で納得していても、総会で理解が得られなければ前に進みません。
 今回の案内では、いきなり総会で決議するのではなく、まず方向性を共有し、その後調査説明会、質疑応答を重ね、改めて決議へ進む流れが示されています。
 住民が理解し、必要性を感じ、納得して動ける状態になることまで含めて初めて実行可能な計画になります。


6.管理組合が今日から何を始めるべきか
それでは最後に本日の内容をまとめます。第1に、長期修繕計画は一度作って終わりではないということです。
 建物の現状と社会環境の変化に応じて、定期的に見直し続ける必要があります。第2に、現状維持は安全策ではないということです。
 モデルケースでは、月1万2,000円のままでは30年後に約9,300万円の不足が見込まれることになりました。
 第3に、見直しとは単なる値上げではなく、修繕計画の再構築だということです。工事の時期、範囲、組み合わせを見直すことで、30年累計で約2,100万円の削減予知が見えてきます。

 第4に、AIは人に代わって決めるものではなく、人の判断を助ける道具だということです。
 第5に、最後の鍵は合意形成です。
 住民が理解し、納得して前に進めることが実行可能な計画の条件です。長期修繕計画の見直しは単なる数字の調整ではありません。
 談合問題に端を発し、何が重要なポイントなのかがわからなくなってきています。また、何を信じたらよいのか、誰を信用したらよいのか、当セミナーを拝聴されている、問題意識の高い管理組合の方は特にそうだと思われます。
 AIから取得した客観的なデータを信頼できる国家資格者であるマンション管理士が監修を行う。現段階では一番の最適な方法であると断言いたします。
 本日のテーマに関してさらに詳しく知りたい方、長期修繕計画の見直しをご検討中の管理組合様は案内ページ及びサービス詳細ページをご参照ください。
 ご清聴、誠にありがとうございました。

 

 

令和7年住宅侵入窃盗認知件数、前年比6.1p増の18,007件 在宅の有無問わない悪質な侵入窃盗・強盗事件の発生も

 住宅侵入窃盗の状況
警察庁が今年8月に発表した「令和7年の刑法犯に関する統計資料」によると、住宅を発生場所とする侵入窃盗の認知件数は、令和3年から16,000件台と18,000件台が交互に計上され、令和7年は18,007件で、前年比約6.2ポイント増加しました。
住宅形態別では、一戸建住宅が7割超で圧倒的ですが、共同住宅も低層階ほど認知件数が多い状況となっています。
検挙率が軒並み下がり、検挙率では、令和7年は50%を下回る46.3%でした。
また、最近では、家人の在宅の有無を問わない、窓ガラスを破壊して住宅に押し入る等悪質な手口による侵入窃盗・強盗事件が発生しています。御自身や御家族の身の安全と財産を守るため、侵入犯罪の現状を確認しておきましょう。

※「その他」とは、空き巣、忍込み及び居空き以外の倉庫荒し、その他の侵入窃盗の手口をいう。

 

 

 

『Q&A マンション管理組合の総会運営』

『Q&A 区分所有法の改正』『Q&A マンション標準管理規約の改正』に次ぐ第3弾として、最新の法改正等に対応した総会運営の解説書となります。
実際に行われる総会では法律や標準管理規約の知識だけでは不足する場面も少なくありません。そのような場面を想定し、本書では総会運営に関する124の裁判例を掲載しています。
今回の法改正により変更となった、総会の招集、決議要件などの説明のほか、総会上での質問や動議、総会の議事をかく乱する出席者への対応、決議の瑕疵など、一般管理組合の参考書として活用できる一冊となっています。

『Q&A マンション管理組合の総会運営
-令和7年法改正を踏まえた実務の手引き-』
2026年8月29日発行
著者/渡辺 晋
判型/A5判174ページ
定価/3,300円(税込)
発売/㈱大成出版社
ISBN 978-4-8028-3656-2
(リンク)
//www.taisei-shuppan.co.jp/show/detail.html?code=3656

 

「漏水トラブル」で区分所有者が役員個人を提訴 / 個人的対立による役員の法的責任認めず、全面棄却

令和6年6月25日東京地裁 損害賠償請求事件

【当事者】

原告:区分所有者であるX社、X社代表取締役X1
被告:当時の理事長Y1、理事Y2

 

【主文】
原告の請求をいずれも棄却する。

 

1  事案の概要
 本件の舞台となったのは、昭和52年竣工・全10戸の小規模マンション。平成29年6月、1階店舗(区分所有者X社)の天井から大量の漏水が発生しました。上階の浴室排水管および屋外共用排水管の詰まりによる逆流が原因です。
そこで、X社は、管理組合の理事長を務めていた被告Y1、理事であったY2に対し、以下の理由で損害賠償を求めました。

【原告の主張】
 清掃義務の懈怠:平成21年以降、約8年間にわたり排水管清掃を怠った。被告らには善管注意義務違反があり、これにより、原告は損害を被った。
総会招集の排除:平成23年から令和3年11月まで、X社にだけ意図的に総会の招集通知を送らなかった。X社が出席していれば、排水管清掃業務は定期的に履行され、本件事故の発生は防止できた。

【被告の主張】
 嫌がらせ行為:X社は長期にわたり管理費を一切支払わず、代表取締役X1が総会に参加した際は、他の住人らと言い争いになり、同人らへの嫌がらせを行うなどして、本件管理組合の運営に重大な支障が生じたため、総会の招集通知を停止した。
 原告請求の背信性:管理組合が排水管清掃を実施できなかったのは資金不足によるものであり、その要因の1つは、X社が一度も管理費・修繕積立金を支払わなかったことにある。そのようなX社が、個人である理事長Y1らに対して本件請求をすることは、著しく信義に反する。

 

【争点】
 この裁判での最大の争点は、「管理組合の役員は、個々の区分所有者に対して直接責任を負うのか」という点であるといえます。裁判所は、区分所有法および管理規約に基づき、管理者は「区分所有者団体(管理組合)」との間で委任関係を持つが、「個々の区分所有者との間で個別に委任関係を有するとは解釈できない」と判断しました。
 つまり、役員が負う善管注意義務は、あくまで「管理組合という組織」に対するものであり、一組合員であるX社に対して負うものではない、という論理です。
 さらに、不法行為(民法709条等)に基づく責任についても、判断が下されました。
 清掃の実施判断:排水管清掃をいつ実施するかは、組合の財政状況や他の優先事項を考慮した「管理者(理事長)の裁量」に委ねられる。X社が長年管理費を滞納していた背景もあり、清掃未実施が直ちに違法とはみなされなかった。
 総会招集通知の漏れ:通知をしなかったこと自体は「任務懈怠」と認められたものの、仮にX社が総会に出席していたとしても、それによって直ちに清掃が実施され、事故が防げたという「因果関係」は認められないとされた。

【結論】
 東京地裁は、X社が主張する理事長Yらの債務不履行および不法行為のいずれも認めず、請求を全面的に棄却しました。

 

『写真でたどる 勝手気ままな旅日記』(その4)

ビーチトレイン

東莱邑城址

7月28日~8月5日 ダイヤモンド・プリンセス号の船旅《後編》

 出港4日目の31日、韓国の釜山港に7時に寄港。韓国語が全く分からない私は18.000円の釜山観光コースに参加しました。
最初に海雲台の海を散策後、海雲台の尾浦(ミポ)から青沙浦(チョンサポ)、松亭(ソンジョン)に至る海雲台ブルーラインパークを走る海辺列車(写真1ビーチトレイン)に乗車し、青沙浦タリットル展望台、海に突き出た橋からの景色を眺めました。
 釜山名物東莱パジョン(チヂミ)とマッコリの昼食後、東莱邑城址(トンレウプソンジ)(写真2東莱邑城址)へ行きました。朝鮮王朝時代歴史的な建築物が多く保存され、豊臣秀吉の朝鮮出 兵の際に釜山の主戦場となった所です。
 5日目は釜山から青森への移動日。6日目は10時に下船し、「ワ・ラッセ」行き、夕方7時から始まる「ねぶた祭り」に備えました。
ねぶた祭りの通る新町通り沿いはとても混んでいて、食事処は何処も予約でいっぱい。地元の人らしき年配の女性に声をかけたら、通り沿いに設置された椅子をお使い下さいと言われて驚きました。その女性は通り沿いの地主さんで、12階建てのマンションのオーナーだったのです。ねぶたを見に来たお客さんにも提供されているとのこと、一番前の最高の椅子に座れて、めちゃくちゃラッキーでした。(写真3通り沿いに設置された椅子)
 椅子のない道端には4〜5時間前から皆さん場所を確保していたので、ホントにありがたかった。その女性は「青森明の星中学と高等学校」の同窓会会長という、地元の名士でした。お陰様で最高のねぶた祭りを楽しませていただきました。
 こんな素晴らしいねぶた祭りが見られるなら来年も着たいと思いました。
 1時間30分全てを見たあと、客船に戻り、14階のレストラン、ホライゾンコートで夜食を食べました。私の部屋も同じ14階でした。
 今回の「夏休みクルーズお祭りに沸く日本周遊と韓国9日間の旅」のなかでねぶた祭りは最高の経験となりました。

通り沿いに設置された椅子

ねぶた

ねぶた

ねぶた

ねぶた

ねぶた

大震災から得る教訓―マンション特有な弱点と備えを考える

  熊本地震から得られた多くの教訓の中で、私たちが特に目を向けるべきテーマの一つに「マンションの被災」があります。
  今回は、実際の被災事例から見えてきた、マンション特有の弱点と備えのポイントについて考えてみましょう。
  まず、発災直後の住戸内で身を守るための教訓です。激しい揺れにより、室内には割れた陶器やガラスの破片が散乱し、足の踏み場もなくなる危険があります。室内であっても安全に歩行できるよう、平時から寝室に靴を用意しておくという、命を守るための第一歩が不可欠です。
  さらに深刻な事態を招くのが、玄関ドアの被害です。
  強い揺れでドア枠が歪んで開かなくなり、避難のために無理にこじ開けると、今度は閉まらなくなってしまいます。
  壁に穴を開け、チェーンやナンバーキーで仮施錠をして凌いでいるケースも多々ありました。
  ここで高いハードルとなるのが、分譲マンション特有の事情です。共用部分であるドアの補修には、管理組合での合意形成と資金調達が必要となります。
  これが滞れば、各住戸は施錠できない状態のまま放置されてしまいます。悲しいことですが、被災地の混乱に乗じて人の不幸を喜ぶ泥棒はどこにでもおり、空き巣犯罪が頻発したという事実は、個人の力だけではどうにもならない防犯の壁があることを物語っています。
 次に、インフラやライフラインの被害も見過ごせません。
 地震時管制運転装置や戸開走行保護装置などの最新機能を持つエレベーターであっても、閉じ込め事故が多発しました。熊本地震では、救出までに3時間から3時間半もの時間を要した事例があります。
 万が一に備え、エレベーターのかご内には飲み物、簡易トイレ、照明器具を備えた防災ボックスを設置することが推奨されます。
 また、マンションにおいて排水設備の破損は致命的です。
 下階への甚大な漏水被害を防ぐため、水洗トイレの使用は「厳禁」となります。この使用制限が解消されるまでには1カ月以上を要することもあり、管理組合による共用簡易トイレの設置と、各家庭でのトイレパックの多めの備蓄が、文字通り生活の命綱となります。
 そして、盲点となりやすいのが「ゴミの管理」です。自治体のゴミ収集がストップしている中、ルールを決めずに各人がゴミ置き場に出し続ければ、あっという間に未分別のゴミの山ができあがります。
 被災時のゴミ収集再開には1カ月かかることもあり、悪臭や衛生面での問題を引き起こします。自力で整理や廃棄ができず、最終的に業者に依頼した結果、100万円以上の想定外の費用負担を強いられた管理組合もありました。
 非常時こそ、管理組合の指示があるまでは「各戸で分別して保管する」という強い自律が求められます。
 マンションの防災は、個人の備えだけでは完結しません。防犯対策からトイレの運用、ゴミの管理に至るまで、管理組合という「共同体」としてのルールづくりと協力体制があって初めて機能するのです。
熊本地震が残したこれらのリアルな教訓を対岸の火事とせず、今一度、ご自身の住むマンションの防災力を見直してみてはいかがでしょうか。

<全建センター・大規模修繕工事新聞論説委員会2026-10-02>

 

 

「マンションAI®」活用術⑮ 「マンションAI®」に相談してみよう!

「マンションAI®」に相談してみよう!

現在、全建センターの「マンションAI®」は数多くのマンションの理事、あるいは組合員からご質問が寄せられ、それに対してマンションAIが回答している、という実例があります。
このコーナーでは、実際にこの数カ月の間に管理組合の皆さんが「マンションAI®」を活用されている実例を紹介します。
【監修】全建センター筆頭理事・佐藤成幸

Q   

130戸のマンションです。築15年目に管理会社主導でインターホンの全交換を実施しました。 2,100万円かかった記録があります。今年築30年目となり、修繕計画を根拠に再び管理会社からインターホンの全交換の提案がありました。今回の見積もりは3,400万円となっています。
修繕計画通りに全交換するか、不良状況などを調査し多くなければ全交換はやめるか。世間のマンションではどうしているのかの情報が有れば教えてください。

A    

 130戸のマンションで、築15年目に2,100万円かけて入れ替えたインターホン。あれからさらに15年が経過し、今年で築30年。修繕計画の文字通りに管理会社から出された再度の全交換の提案書には、「3,400万円」という数字が印字されていた。
 給料は上がらない、年金は増えないのに、物価だけが上がっていくインフレ状況下の日本社会の中で、何より巨額の資金が手元から消えていく焦燥感がある、というのが現在地だと思います。
 「3,400万円」は、戸当たり約26万円。15年前は戸当たり16万円ほどだった記憶を辿れば、およそ1.6倍の跳ね上がりです。資材高や人件費の高騰という言葉はニュースで聞き飽きていたはずなのに、いざ自分たちの積み立ててきた修繕積立金に刃を突きつけられると、思わず息をのんでしまいます。
 「まだ壊れていない部屋も多いのだから、不具合の調査をして、必要な部屋だけ変えればいいのではないか」と考えるのは自然でしょう。
 管理会社が強気な提案に出る最大の根拠は、「部品の供給限界」です。
 メーカーが補修部品を保持する期間は、生産終了からおよそ10年から15年。築30年を迎えたインターホンは、一見すこやかに動いているように見えても、一度壊れれば「交換部品が存在しない」という脅し文句で落としにかかるわけです。
 室内機ひとつが故障しただけでオートロックと連動しなくなったり、最悪の場合は共用部の制御盤が寿命を迎え、マンション全体の鍵が開かなくなったり・・・リスクと背中合わせなので早めに代えておいたほうがよい、と。
 だからといって、出された3,400万円の紙切れをそのまま飲み込む必要もありません。
 管理会社を通さずにインターホン専門の施工業者から相見積もりを取って中間マージンを削り、2,000万円台前半まで予算を抑え込んだ事例も珍しくありません。
 最新のスマホ連動や高画質カメラといった「過剰な機能」を削ぎ落とし、シンプルな仕様に絞ることで価格を下げる工夫もできます。
 また、世間で見事にコストを抑えているマンションは、「交換するか否か」の二者択一ではなく、その過程でしなやかに立ち回っています。
 インターホンは壊れるまで、例えば居住者から「故障した」という声が多発するまで代えないマンションが多く、管理会社お任せでなければ「築20年超」で全交換の検討 をはじめるマンションが一般的なようです。
 そうすると、今のお悩みは6,7年先に延ばしてもよいのではないでしょうか?
 修繕計画は、未来を縛る絶対のルールではなく、安全に立ち止まるための地図に過ぎません。
 不具合の数を調べる前に、まずはメーカーに現在の型番の「部品供給の残り寿命」を確認すること。そして、提示された見積もりの妥当性を別の視点から検証してみること。3,400万円という数字の重みに押し潰される前に、もう少しだけ選択肢を広げてみる価値はありそうです。

昔話「火男」に学ぶ、裏方の価値

 昔話「火男」が神楽面の「ひょっとこ」の語源だという説がある。
 お爺さんが山で腹痛を起こして苦しんでいた顔のみにくい若者を助けて家に連れ帰ったところ、恩返しのために働いてくれた際、みにくくとがった口を火吹き竹のように使って、とても上手に台所の煮炊きの火を起こしてくれた。その若者がいる間は家はとても栄えたが、婆さんが次第に若者をうとんじるようになり、追い出したところ、家はたちまち衰微してしまったという話だ。
 これを現代に置き換えると・・・・。
 郊外の繁盛していた定食屋。 厨房の奥で十七年、火を見つめてきた男がいた。 顔に自信がなく、口下手で客と目も合わせられない。
 常連以外は名前も知らず、店の新人さえ、「あいつは役立たたずの裏方だ」と笑った。
 しかし店の火は、開店前も、昼の仕込みも、すべて彼が見てきた。 炊き上げの湯加減、揚げ物の油の温度、網の上で炭がよく変わる色。
 二代目にあたる経営者の妻は、彼を良く思わなかった。無愛想で、接客を覚えようとしない。看板写真にも入れたくない。
 とうとう店から追い出してしまう。
 彼が店から去った一ヶ月後、店の味はぶれ、レビューサイトの星は落ちていた。ついには店はつぶれてしまう。
 あなたの職場の「火」は、どこで誰が燃やしているのか。 その火をもやす人は、もくもくと働く目立たない人かもしれないが、実は会社にとってかけがえのない人なのかもしれないのだ。

 (ジャーナリスト 井上勝彦/絵:吉田たつちか)

 <おもしろコラム提供>//omosiro-column.com/

 

このセミナーで学べること

 

第83回オンラインセミナーでは、一般社団法人全国建物調査診断センターが、このほど、開始した新らしいサービス(マンションAI®コンサルタントシステム Z)について詳しくご説明します。今話題のAIロボットを活用しマンション管理士監修と新しい建物診断書により長期修繕計画を見直すことで、談合問題もクリアするという画期的なシステムとして自信をもってスタートさせたものです。いち早く、ご理解をされて、お早めに、チャレンジされることをおススメいたします。

 

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全建文庫、66冊突破/全建文庫電子Book版を無料公開しました。

 全国建物調査診断センターでは創立から17年以上にわたり毎月「大規模修繕工事新聞」をマンション管理組合に発信し続けて交流を促進してまいりました。また、隔月で開催している管理組合セミナーは82回となりました。さらに、これら蓄積した「経験情報」を各テーマ別にまとめ、全建文庫として販売しておりますが、その数が66冊になりました。 今後もマンション管理組合セミナーや大規模修繕工事新聞の取材、管理組合セミナー、そして、全建センターで取り扱った各種相談などから情報を収集・編集し、発信してまいります。 なお、全建センターでは、全建文庫65冊突破を機に、管理組合、マンション居住者に同文庫の電子ブック版を無料公開しました。 無料公開の全建文庫一覧は下記の専用HPで公表、こちらから、読みたい書籍の画像をクリックすると、当該書籍閲覧するための暗証番号が求められるので、専用HPに公開されている暗証番号を入力すると、当該書籍電子ブック版が表示されます。
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発行元の全建センター・吉野代表理事は「貴重な情報源として多くの管理組合役員から高く評価されていることから、一般社団法人設立の趣旨から、これを広く無料公開することで、大規模修繕業界に降りかかっている様々な問題解決の一助になれば」と公開に至った心情をかたり、「100冊発刊のゴールを目指して、今後も、全建文庫の発行を続けていきたい」と決意を述べている。

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