月刊「大規模修繕工事新聞」は、一般社団法人 全国建物調査診断センターが発行するマンションの適正な管理に役立つ管理組合向けのフリーペーパーです。コロナ過を契機に発行形態を紙媒体から全面的に電子版に移行いたしました。それにともない、これまで首都圏、関西圏のみの発行でしたが、ネット配信の強みを生かし、全国規模に拡大しました。当HPでは、「大規模修繕工事新聞」創刊から現在に至るまで、全ての記事をアーカイブ収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を右の<記事検索>にキーワードを入れるだけで表示させて、必要な記事を読むことができます。今後とも、マンション管理組合さまのお悩みに寄り添い適切な情報をお届けしてまいります。

専有配管工事、修繕積立金の 取り崩しはできるか?

管理相談

専有配管工事、修繕積立金の取り崩しはできるか?

キッチンでの配管更新工事の様子
キッチンでの配管更新工事の様子

給排水管の更新・更生工事において、共用部分の配管と専有部分の配管を一体工事とし、その費用のすべてを修繕積立金で賄う工事例が増えてきています。
しかし、そもそも専有部分の配管工事について修繕積立金を使って管理組合主導で施工できるのでしょうか?
実は、マンション標準管理規約では、専有部分の改修工事に対して修繕積立金の取り崩しを認めていません。ただし、共用・専有一体工事のメリットもあります。
共用・専有一体工事を行う場合の問題点と打開策を探ってみます。

洗面所も床をはつって作業を行っている
洗面所も床をはつって作業を行っている

マンション標準管理規約第28条において、修繕積立金は敷地および共用部分等の特別の管理に要する経費に充当するために納入が義務付けられています。
このため、このままでは共用・専有一体工事だからといって、管理組合の負担として専有部分の工事費を修繕積立金から取り崩すことはできないのです。
しかし、マンション内の配管類は共用も専有も構造上一体となっており、その管理も管理組合が一体として行ったほうが効率的です。特に築年数が古いマンションでは漏水事故によるトラブルも多くなるため、一体工事に対するニーズは高くなると言えます。
そこで打開策として考えられるのが、管理規約の改正です。
①共用配管と専有配管の一体工事に際し、専有配管工事費用を修繕積立金の取り崩し事由とする

②一体工事のための専有配管工事費用に充当するための修繕積立金取り崩しを総会の決議事項とする、
以上の2点を管理規約に明記し、長期修繕計画にも専有配管工事を位置づけ、その上で総会決議を経れば、修繕積立金の取り崩しは可能であることいえるでしょう。
不用意な修繕積立金の取り崩しは、のちのトラブルにつながりかねません。きちっと手順を踏むと同時に、事前の周知などにも配慮する必要があります。
なお、管理規約改正は総会で4分の3以上の決議が必要となります。

共用・専有部分の同時施工のメリット・デメリット

メリット
・住戸内の配管形成・状態が統一できる(戸別の漏水事故の心配がなくなる)
・全戸統一工事のため、各戸での配管劣化や工事の検討などの精神的負担が減る
・?一体工事のため、費用面でのスケールメリットがある
デメリット
・ユニットバス、システムキッチンなど、すでにリフォームをした住戸などもあり、合意形成が難しい
・住戸内の床や壁などをはがす作業による騒音
・共用部分+専有部分のため総工事費が高額になる

事例検証

スラブ下配管での工事例
スラブ下配管での工事例

判例としては、最高裁判決としてスラブ下配管の事例があり
ます。
<判決例> 平成12年3月21日 最高裁
<判決要旨>
排水管の横引管(専有部分の配管)が床下コンクリートスラブを通過し、階下の専有部分(天井裏)に配管されている構造(いわゆるスラブ下配管)のマンションで、 当 該 排 水 管は「専有部分に属しない建物の付属物」であり、区分所有者全員の共用部分に当たるとした。

(大規模修繕工事新聞 2014-2.5 No.50)


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