マンション管理組合向け総合保険/保険会社各社の現況
損害保険各社はマンション管理組合向けの総合保険に関して、恒常的な損害率悪化を理由に「築年数別料率体系」を取り入れ、管理組合との間では大きな契約変更となる更新を行っています。
各社の築年数別実施状況の概況は以下の通りです。
平成25年10月1日、三井住友海上が大手損害保険会社としては最後に築年数別の料率体系を実施しました。
保険料が大幅にアップしてしまう築年数が古いマンションは料率改定前9月30日迄に三井住友海上にて長期契約をして大幅な保険料アップを回避する駆け込み契約が殺到しました。
現在、既に大手損害保険各社は築年数別料率を実施しているため、今後の保険料アップを回避するポイントは以下の通りです。
①現契約の満期時または2年後に築15年、築20年、築25年を迎えるマンションは現契約を解約して料率が上がる前の料率区分で長期契約(最長5年)をして保険料アップを回避する(現契約の解約保険料は月割りにつき、殆ど無駄が有りません)。
② ①は保険会社各社の保険料を比較して最も安い保険会社を選択する(築15年以上は免責金額がアップする保険会社があるので要注意)。
③補償内容の削減を検討する(約定付保割合30%を検討、臨時費用・設備損害・水災の不担保を検討)。
④保険料の割引制度がある保険会社は割引の申請をする(例:損害保険ジャパン)。
保険代理店社員のつぶやき…
各社の保険料値上げは個人賠償特約部分の大幅値上げが主な要因です。
個人賠償特約は殆どのマンションでは付帯されていますが、築年数が古くなるにしたがって損害が多くなっている現況です。
マンション内における個人賠償に該当する事故はほとんど専有部分からの過失による階下への漏水です。つまり、洗濯機のホースが外れてしまっ
て水があふれてしまったなどといった事故例が多いのです。これはマンションの築年数に起因しないはずなのに不思議な現象です。
築年数の経過したマンションの住民の方が日常の危機意識が薄いのでしょうか
最大手の損保A社は平成24年10月1日の築年数別料率実施以後1年間で築年数の古いマンションの契約の多くが他保険会社へ流出しましたが、
同保険の収支は大幅に改善し前年より30億円超の利益が出たようです。
マーケットのシェアが大きいことにもよりますが、築年数の古いマンションの損害率がいかに高いかがわかります。
そのA社は今年4月1日より料率体系を現行の4区分から7区分に細分化して、さらに収支の改善を図るそうです。
●取材協力:㈱グッド保険サービス
(大規模修繕工事新聞 2014-2.5 No.50)