コロナ感染者への中傷を防ぐ動き徐々に
NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2020年10月5日付第457号「論談」より
2月に始まった新型コロナ感染の広がり。このところ、ようやく感染者の発生がやや減りはじめ、政府は東京都を除外していた観光支援事業「GoToトラベル」を10月から補助対象とした。
小池都知事も「感染防止に万全を期して」という条件付きで、緩和の意向を示した。
同時に、23区内の酒類提供の飲食店とカラオケ店の午後10時までの営業時間短縮要請を、9月15日をもって終了した。あれれ、と受け止める住民も多く、減ったとはいえ、東京ではまだ感染者が100名を超える日が多いというのに。
管理組合役員が中傷で辞任
感染者への中傷問題が起きており、感染者がまだ広がらない2月、北海道旭川市で、第1号となる感染者が出た。旭川市内のマンション管理組合役員だったが、住民から中傷され、役員を辞任している。
また各地の自治体でも感染者を非難したり攻撃したりするケースも発生してきた。
各地に差別を防ぎ人権守る動き
これに対して7、8月ころから、コロナ感染者への差別や人権侵害を禁ずる条例制定などの動きが出てきた。栃木県那須塩原市では9月4日、開会中の市議会に「感染者やその家族が誹謗中傷や差別的扱いを受ける被害が報告されている」として、人権侵害を防ぎ、当事者への支援を目的とする条例を提案、審議中だ。
被害を受けた住民の相談に乗ったり、必要な情報提供、被害を受けた住民への支援を行うというのが条例の骨子だ。
市の担当者は「市内には、コロナ感染者は現状では必ずしも多くはないが、ほっておけない問題だ。
近隣市町村からも注目されています」と話している。
茨城県や岐阜県でも同様の差別を禁ずる条例を制定した。
また、8月には文部大臣が感染者への差別を防ぐため、子どもや教職員、保護者に差別へ同調しないよう呼びかけるメッセージを都道府県教育委員会などへ向けて出している。
メッセージは、感染者を責めるのではなく、励ますことが大事だと指摘している。こうした動きと合わせ、マンション内でも感染者とその家族が不当な攻撃や差別の対象とならぬよう、管理組合などの取り組みを期待したい。
(NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞 131号)