工事業者選定の相談・・・でも?
6年くらい前のこと、130戸・築12年目で初めて大規模修繕工事を実施する管理組合から「どんな工事業者がよいのか」という相談を受けたことがありました。
工事の基本から設計・監理方式などを説明し、十数社にのぼる工事業者から見積もりを取り、5社に絞ってプレゼン、ヒアリングを行いました。いろいろ試行錯誤した結果、理事12人の満票で改修専門業者のA社に決定。落札価格は1億1,500万円でした。
そこでA社と契約を結ぶにあたって、理事会は決定したばかりのA社に「もうちょっとなんとか」と金額面の値下げを求めたのです。実は最安値であったゼネコンのB社が1億円という数字を出していたからだそうです。
でもとにかく満票で選定されて、A社の営業担当は職人の人工数や数量の見直し、企業努力などによって1億300万円にまで工事金額を下げ、管理組合に改めて見積書を提出しました。 B社が1億円ということはA社の担当者はまったく知りません。
さて、その後、A社には管理組合から連絡はなし。そして2週間後、営業担当に「今回はご縁がありませんでした」という手紙が1通…。
最終的に施工業者に決まったのは、プレゼン、ヒアリングで0票だった最安値「1億円のB社」だったそうです。
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結局おカネの話だけで決まるのなら、プレゼン、ヒアリングをやる必要があるでしょうか?
プレゼンをした業者はみんな労力と時間をかけて来ています。それを選定する管理組合のメンバーもせっかくの休日をプレゼン、ヒアリング、結果を検討する会合に当てているのではないでしょうか。そもそもサブコン(改修業者)よりゼネコンが安値って…?
書類選考、見積もり合わせ、プレゼン、ヒアリングを行った上で、なおかつそういう風に業者選定を進めていく管理組合が施工中、施工後もあわせて、結果的に満足できるかどうかは分かりません。安くできたで満足ならそれでいいでしょう。
しかし、工事業者をおカネだけでしか判断しないのなら、工事の結果責任については、管理組合は相談した全建センター等に持ってこないでほしいですね。
(大規模工事工事新聞 第132号)