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コロナ禍の理事会開催の考え方

新型コロナウイルスの感染対策として、WEB会議などインターネット環境(IT)を活用した理事会の実施が注目されています。
ただし、WEB会議を行うためには管理規約変更、パスワードなどの招集通知方法、WEBサービスへの料金支払い等の課題は少なくありません。そもそもインターネット環境(IT)を持たない理事の問題もあります。
また総会について、マンション管理センターでは「WEB会議システム等を用いて中継し、区分所有者が中継動画 を傍聴することは可能」と考え方を示していますが、神奈川県弁護士会所属の濱田卓弁護士は「映像上はプライバシー等の問題がある」といいます。

マンション管理センターの考え方

Q  管理規約に規定がなくてもIT理事会開催できる?
ITを活用した理事会の開催を検討している。管理規約に規定を設けることはコロナ収束後の総会での追認で可能か?

A 区分所有者からの理解や了承が得られればOK
 一般的には 、理事会の運営等については、管理規約の定めによるほか、別に細則を定めることができることとされており(標準管理規約第70条)、あらかじめ管理規約や細則で定めることにより、理事会についてWEB会議システムや電子メール等を用いて開催することは可能です。
 しかしながら、管理規約や細則に理事会の運営等に係る特段の定めがない場合であっても、新型コロナウイルス感染拡大の予防という観点から、新型コロナウイルス感染症への対応が求められる当面の間においてやむを得ず管理規約に規定されていない手法による対応が求められる際には、区分所有者からの理解や了承が得られれば、そのような対応がなされても不適切ではないと考えられます。
 いずれにしてもWEB会議システムや電子メール等を用いた理事会を開催する場合、これらを用いることができない理事に対して理事会の議事について質問の機会の確保、書面等による意見の提出や議決権行使を認めるなどの配慮や、通常の理事会と同様、管理規約や細則に則り理事会議事録を作成することが必要となる点などについてご留意ください。
※マンション管理センター「新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&A」より


(大規模修繕工事新聞 132号)

IT理事会について

 総会と異なり、理事会の開催については理事会制度自体が区分所有法上の制度ではないため、法上の制約はありません。このため、ある程度自由な管理規約による制度設計は可能です。
 次期総会での追認も認められるとはいえ、事前に管理規約を変更したほうがベターであるにはかわりありません。《管理規約条文案については下記参照》
 また、IT総会については映像上のプライバシー等の問題があるので、実際上は時期尚早ではないかと考えます(濱田卓弁護士)。


管理規約条文案
(濱田卓弁護士私案、かつ最も簡素なもの)
(理事会の会議及び議事)

53条  理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
 2  次条第1項第5号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
 3  理事会に物理的に出席することが困難である理事は、チャットや動画配信その他IT等を活用した情報伝達手段であって物理的な出席によるものと同等の実質を有するものにより、理事会に出席し、議決権を行使することができる。
 4  議事録については第49条(第4項を除く)の規定を準用する。ただし、第49条第2項の「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。
 5  前項の議事録には、第3項の手段によって出席した理事についてはその旨を付記しなければならない。

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