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第49回管理組合オンラインセミナー開催/『終の棲家プラン』を新提案

 一般社団法人全国建物調査診断センター(全建センター)は12月20日、第49回管理組合オンラインセミナーを開催し、約800人が参加しました。今回のセミナーは「『終の棲家プラン』を新提案」をテーマに、全建センター専属の3人の講師が建築や給排水設備担当などそれぞれの立場で講演を行いました。ここでは全建センターのトータルマネジメント方式(TM方式)を利用した給排水設備改修の実例紹介を取り上げます。

TM方式の実例紹介~給排水設備編~

全建センターのトータルマネジメント方式(TM方式)について、「余計なコストを削減できるので採用したい」「TM方式のシステムの実例が知りたい」という相談がよくあります。そこで実際にTM方式を採用して施工した設備工事の実例を紹介します。


実例マンション(給排水設備工事版)
1)埼玉県Cマンション
2)113戸8階建・SRC造・1979年2月竣工(築41年)
3)共用給水管更新工事、直結増圧化工事


第1期 マンションの給排水設備の現状確認、修繕履歴の確認
 管理組合から「共用給水管更新工事、直結増圧化工事を実施したい」という要望があり、全建センターのTM方式を採用していただきまして、進めた事例です。
 まずは全建センターとTM方式の契約を結び、第1期ということで、理事会向けに現在のマンションの給排水設備の現状を確認してもらうということと、【過去にこういう修繕を行っていますよ】といった修繕履歴のレクチャーを行いました。
 理事の皆さんにマンションの設備の現状と修繕履歴…これはなかなか熟知している理事さんは非常に少ないですので、「まずはそこから確認していきましょう」ということで第1期を進めてまいります。


第2期  マンションの給排水設備の目視確認、実施する工事の概要説明
 理事の皆さんが修繕履歴等を理解したら、第2期で実際にマンションの設備の現物を見てもらいます。ポンプ室に入っていただいたり、屋上に上っていただいたり、最上階の配管の経路を確認したりと、目視確認をしてもらいます。
 実際に1~3階に住んでいる方は、この建物8階建てなんですけれども、「最上階に給水管の横引管が走っているなんて知らなかった」という理事の方が非常に多かったです。
 こういった現物を実際に確認していただいて、「ここを取り換えるんですよ」「こういった工事をするんですよ」と説明し、目視で確認をしていただくということを第2期で行います。


第3期  マンションの給排水設備の目視確認、実施する工事の概要説明
 実際に行う予定の工事概要であるとか、最新の設備というものを全建センターの担当が説明します。このような説明を行うことで、「こちらのマンションで給水管、排水管を取り換える場合は、最新の配管材というものはこういうものがありますよ」
「直結増圧化システムの装置というものはこういうものですよ」
「装置や材料の外観はこのようなものですよ」ということを理解してもらいます。


第4期 実施する工事内容、工事範囲、使用材料を検討
 実際に現状の設備を把握し、修繕履歴を確認し、現物を目で見てもらい、最新の材料・機器を確認してもらいました。次は
第4期ということで実際に工事する内容、工事範囲、使用材料の検討、協議に入ります。
 「受水槽は撤去しますか?」「ポンプ室はそのまま使いますか?」「場所を変えますか?」「高架水槽はそのままにしますか、撤去しますか?」「補装しますか、どうしますか?」など、全建センターから質問を投げかけまして、「どういった工事をや
るか」「どの範囲までやるか」について決めていきます。


第5期 パートナー施工会社募集の要項を協議(設計施工方式)
第6期  パートナー施工会社候補会社3社のプレゼンを実施、比較検討
 第5期では、工事範囲、工事内容、使用したい材料等、パートナー施工会社の募集要項を協議するということに移ります。
 第5期まで来ますと、理事の皆さんもだいぶ工事の中身を理解されて、「こういった材料で進めたい」「工事範囲はこうしたい」という意見がたくさん出てきます。
 募集要項を協議して、パートナー施工会社を設計・施工方式で募集をかけたら、今回はパートナー施工会社を3社選んでプレゼンテーションをしてもらいました。そのプレゼン内容を比較検討することで、「この会社はどこがいいのか」「この会社は技術者がどのくらいいるのか」「設計能力はあるのか」「工事施工管理体制は大丈夫か」など、テーマ別に協議(比較検討)をしていきます。


パートナー施工会社公募(例)
1)募集項目
  共用給水管更新工事・直結増圧化工事
  提案・設計・施工方式により工事会社を募集
2)建物概要
  埼玉県○○市○○区△-△-△
  Cマンション
  1979年竣工、SRC造、8階建て、113戸
3)工事概要
   共用給水管更新工事、直結増圧化工事、水槽撤去工事、他
4)基本工事
  ① 受水槽、揚水ポンプ、高架水槽を使用した給水方式を廃止し、直結増圧給水方式に変更する。
  ② 受水槽、揚水ポンプ、高架水槽を使用した給水方式
の廃止に伴い、受水槽、揚水ポンプは撤去処分する。
  ③受水槽、揚水ポンプ、高架水槽の撤去について
   ⑴受水槽の撤去範囲
    水槽本体、平架台
   ⑵揚水ポンプの撤去範囲
    ポンプ本体
   ⑶高架水槽の撤去範囲
    水槽本体、平架台


第7期  パートナー施工会社の決定、実施施工計画の依頼、工事契約書の協議
第8期  パートナー施工会社の決定及び実施工事金額の臨時総会開催、契約
 協議(比較検討)の結果、値段も非常にリーズナブルで、施工内容のレベルも高い、施工管理もしっかりしている、社歴も長い―「このパートナー施工会社がいいな」ということでパートナー施工会社が決定したら、実際に実施施工の計画の依頼を
して、工事契約の協議をはじめることになります。
 実例ではこの過程を経たのち、第8期でパートナー施工会社の決定と実施工事金額の承認を全体で得るために臨時総会を実施しました。臨時総会を経て契約という運びになります。


第9期 パートナー施工会社の工事説明会開催
 第9期で、パートナー施工会社の工事説明会を開催します。
今回はコロナの影響もあり、パートナー施工会社に実際に集会室で説明してもらう方法と、同時にオンラインでその状況を配信する方法の工事説明会を実施しました。


第10期 施工状況の定期確認(10日に1回程度)
 第10期は、パートナー施工会社の作業員がいよいよ現場に乗り込み、施工の開始です。
 全建センターは10日に1回程度の頻度で現場を訪問して管理組合、施工会社、全建センターの3者会合(施工状況の協議)を開きました。
 全建センターの目で施工状況を確認して、「この納まりはどうなっているか」「この工事はどのように考えているか」と、管理組合の立場に立って、専門家として、パートナー施工会社に質問をして、回答を得ました。パートナー施工会社の考え方を引き出すというような形でアドバイスを行うことに留意しています。
 3者会合におけるアドバイス内容は、協議事項を即日まとめて、管理組合とパートナー施工会社にフィードバックするという形で進めていきます。実例マンションの工事はもうすぐ竣工するんですけれども、非常にいい形で竣工することができるのではないかなという風に思っております。


トータルマネジメント方式(TM方式)の特徴
①理事、修繕委員の皆さまに自立していただき、
②専門工事会社の能力を引き出し、
③全建センターが技術的に補助することで、
④管理会社やコンサルタントの経費を削減することができる


最後に
 TM方式は、最初の1期から5期までで、理事会や修繕委員会に少し勉強してもらいますが、ご自身のマンションを確認してもらうことで、①理事、修繕委員の方々が自立して工事に積極的に参加するようになります。そうすることが、②専門工事会社の能力を引き出すことにつながります。
 ③全建センターとしては、より深い専門知識を持ち合わせていない管理組合の方々に対し、我々が専門的な質問をパートナー施工会社に投げかけて結論を得て、工事の品質、施工の安全性というものを担保していくということになります。
 そうすることで④、ここが重要です。全建センターはあくまでアドバイスするだけですので、今まで管理会社やコンサルタントに頼んでいた経費を大幅に削減することができます。余計なバックマージンであるとか、コンサルタント費用というのが一切かからないというような形で工事をすることができるのです。
 TM方式は余分なおカネを使わず、工事経費の削減が実現できると思います。トータルマネジメント方式(TM方式)を採用したいということであれば、ぜひ全建センターへのご質問・ご依頼をお待ちしております。

大規模修繕工事新聞(134号)