全国建物調査診断センターの活動のひとつであるセカンドオピニオン制度。専門家のアドバイスを受けながら自立を目指す管理組合に注目を集めています。管理会社やコンサルタントの提案がファーストオピニオンだとすれば、それが適切かどうかを判断する第三者の目も必要です。現在、全建センターがスローガンに掲げているのが「管理組合 独立宣言」です。セカンドオピニオン制度を利用することで、適正な管理組合運営の確立に役立ててください。
実 例
問題山積み小規模マンション
月1回の勉強会から意識改革
相模原市の築18年・18戸のマンション。新築当時から漏水が頻発し、元施工のゼネコンにより防水工事等が実施されてきましたが、そのゼネコンも、デベロッパーも数年前に破たん。
大規模修繕工事の実績はまだありませんでした。管理は地元の不動産会社が行っていましたが、管理組合にとって最も頭の痛い要因は、居住者の無関心でした。
相談を受けた全建センターではセカンドオピニオン顧問契約の承認を経て、毎月1回の勉強会や意見交換会から取り組みをはじめました。管理費は、自分たちでできることを自分たちでやれば管理会社への支払いは当然削減できることを説明。管理員に来てもらっている週3回のゴミ回収日について、ゴミ置き場の掃除を2,000円/回で住民が行うことにしました。
管理費削減による財務改善が糸口になると考え、さらに管理会社の業務内容を精査。明らかに他社への変更が良いと判断できたため、管理会社変更を提案しました。
管理会社変更では、全建センターによるアドバイスのもと、管理組合が自身で適切と思われる数社に見積もり参加を依頼。
管理業務内容、範囲、頻度をまとめた要求仕様書を作り、さらに各社にプレゼンテーションを行ってもらい、新たな管理会社でスタートさせました。
管理組合の財務が改善してきたところで、大規模修繕工事についての意見交換もはじめました。そうすると勉強会等で参加者から様々な意見が積極的に出るようになっており、業者選定をどうするか、また施工がはじまってからも定期会議で活発な参加者の増加がみられるようになりました。
結果として多くの住民が満足のいく大規模修繕工事ができました。だれも関心がなく、元施工会社、デベロッパーが倒産し、管理会社に高額な管理費を支払い続けていたマンションの、見事な復活劇でした。
セカンドオピニオン制度とは
セカンドオピニオン制度の利点は、大規模修繕工事や設備改修に対し、管理会社やコンサルタントの提案を、第三者の視点から客観的に判断、管理組合の自立を促し、管理運営の改善、財務の改善を行うことです。
具体的には、設計コンサルタント費用の削減や工事自体の実施時期、範囲、内容の適切化を進めることが可能になります。また、全建センターでは日常的な管理運営、管理業務の見直し・改善についても対応しています。
対コンサルタント
①調査診断報告書の妥当性 ②工事設計内容・範囲の妥当性
③工事費用の設計価格の妥当性
④施工会社選定方法の妥当性 ⑤施工会社評価査定
⑥施工検査の妥当性監査
⑦アフターサービス点検・瑕疵問題監査
対管理会社
①長期修繕計画書の妥当性 ②管理業務の精査
③管理業務改善交渉
対施工会社
①工事請負契約書内容精査 ②現場代理人業務監査
③施工検査査定監査
④アフターサービス点検・瑕疵問題監査
●お問い合わせ先
一般社団法人 全国建物調査診断センター
☎03-6304-0278 FAX:03-6304-0279
E-mail:info@zenken-center.com
URL://zenken-center.com
大規模修繕工事新聞(134号)