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上階からの漏水トラブル 管理組合が修理に応じるの?/山村弁護士法律相談(3)

Q2「上階からの漏水トラブル/管理組合が修理に応じるの?」

 マンションの住人から管理組合に対して、「上の階から水が漏れてきた」と苦情がありました。調べてみると上階の部屋の床下配水管に亀裂が生じ、そこから漏水していることがわかりました。管理組合はこれを修理しなければならないのでしょうか。

まずは規約で管理責任を確認/専有部分は個人、共用は組合に帰属

マンションの排水管の修理は、区分所有者と管理組合のどちらが行うべきでしょうか。
まずはマンションの管理規約を確認してください。
排水管について、管理組合と区分所有者のどちらが管理責任を負うのか明記されていれば、それに従うこととなります。排水管の管理責任が規定されていない場合は、修繕が必要な排水管が、専用部分なのか共用部分なのかで結論が異なります。
専有部分とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいい、各住戸部分がこれにあたります。共用部分とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び規約により共用部分とされた部分をいい、エントランスホールやエレベーターホール、共用廊下、宅配ボックスといったスペースがこれに該当します。
専有部分は、その管理責任を区分所有者が負いますので、修理は区分所有者の責任と負担において行う必要があります。他方、共用部分は、管理組合が管理責任を負いますので、修理は管理組合の責任と負担で行います。
したがって、問題の排水管が専有部分に属すれば、区分所有者において修理する必要があり、共用部分に属し
この点、一般的な管理規約によると、排水管については、配管継手および立て管は共用部分と規定されています。したがって、配管継手や立て管部分の修繕は管理組合が、住戸内の枝管の修繕は区分所有者が行うことになるというのが一般的な考え方です。
 もっとも、排水管の枝管が上階の床スラブの下、つまり、階下の天井裏を通っている場合、これを区分所有者が管理することは現実的には困難です。そこで、このような場合は当該枝管も共用部分に当たるものとして、その管理責任は管理組合に帰属するものと考えられています。
個人の問題にとどまりません。そこで最近では、専有部分の工事であっても、排水管の取り替え等共用部分の配管と一体的に扱うことが必要とされる工事については、一斉に行うことが多くなっています。

(大規模修繕工事新聞 132号)

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