マンションの誕生をさかのぼると、軍艦島や同潤会のRCアパートメントが先駆けといえる。関東大震災をはさみ、耐震耐火性の優れたRC造の建物の供給がはじまったのである。昭和30年代には住宅公団による大量供給が行われ、建物が所有権の対象となり、区分所有法が成立。ところがこの時の法律は、建物の寿命は考えられない、使う人も変化しないという仮説に基づいていた。
しかし今まさに「2つの老い」が進行中であり、全国的な問題になっている。本書は管理組合をはじめさまざまな立場の人々が「再生の道を探り始めた」とし、それらの議論がさらに進めば「マンションの寿命が尽きるまでその役割を果たせるかもしれない」と綴っている。
『高経年マンションの影と光
―その誕生から再生まで』
編著者/大谷由紀子・花里俊廣
発行/プログレス
A5判・280ページ
定価/ 3,800円(税別)
2020年9月11日発行
ISBN:978-4-910288-04-8
(大規模修繕工事新聞135号)