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耐えられない生活騒音 どのような対応ができますか?/山村弁護士法律相談(5)

Q 耐えられない生活騒音どのような対応ができますか?

 マンションの上の階の住民の足音や物を引きずる音などの生活音がうるさく、不眠症になってしまいました。
 上の住民に対して、どのような対応ができますでしょうか?

生活妨害の判断基準に「受忍限度論」 立証のため騒音計等で記録の必要も

 共同住宅であるマンションにおいては、近隣の部屋からある程度の生活騒音が聞こえてくることはやむを得ないことでしょう。しかし、本件のように、その騒音が原因で不眠症になるなどの被害が発生している場合、被害を受けた住民は、上階の住民に対してどのようなことができるでしょうか。
 まず、管理組合に相談する方法が考えられます。管理組合においては、騒音の有無・程度を確認し、実際に相談者の主張する騒音が認められる場合は、管理組合の名前で当該住民に向けて張り紙等で騒音への注意を呼びかけるなどといった対応をしてくれることが考えられます。
 このような管理組合による働きかけにもかかわらず騒音が収まらない場合、騒音の程度や内容によっては、管理組合が当事者の間に入って話し合いを行うことも考えられますが、その問題がマンション全体に関わるようなものでない場合は、基本的には被害を受けている住民と騒音を出している住民との間で解決すべき問題といえるでしょう。
 この場合、被害を受けている住民は、調停や訴訟などにおいて、騒音を出している住民に対して差止請求や不法行為に基づく損害賠償請求を行うことが考えられます。
 この点、裁判実務においては、騒音問題等の生活妨害の違法性判断基準として、「受忍限度論」が定着しています。これは、騒音の程度や態様(時間帯や騒音の種類等)の他、管理規約違反の有無や下階への配慮、騒音の回避可能性(騒音を出さないようにすることが容易に可能か)等の諸要素を考慮して、騒音が一般社会生活上受忍すべき限度を超えているか否かを判断基準とするものです。
 本件においても、上記のような判断要素を総合的に判断し、騒音が受忍限度を超えていると認められる場合は、不法行為に基づく損害賠償請求が認められるでしょう。
 ところで騒音の程度を裁判で立証するためには、騒音計等で記録し、それを証拠にしておく必要があります。騒音計は、区役所などでレンタルすることもできますが、管理組合でも用意しておくとよいでしょう。


(大規模修繕工事新聞 136号)

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