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マンションの植栽管理

 マンション・団地の植栽は、景観を美しく育て潤いをもたらすだけでなく、四季の変化を告げ、夏の暑さや冬の冷え込みを和らげてくれるなど、私たちの生活の中で重要な役割を果たしています。しかし植栽のメンテナンスを怠ると、敷地内の美観を損なうだけでなく、私たちに不快感を与える原因となってしまいます。
 植栽が作る住環境をより快適なものとし、建物の資産価値を高めるためには、植栽管理計画を立てることが重要です。樹木や根のトラブルが顕在化してから対策をとるよりも、中期計画やリニューアル方針を立てて取り組めば予算も組みやすくなるなどのメリットがあります。
<取材協力:牧野造園㈱>

【高木・老木対策】
 樹高が高いエリアでは、日照をめぐり樹木の内で競合が起こり、競合に敗れた樹木では衰弱がみられるようになります。特にサクラ類では日照不足による衰弱から枯死へと発展しやすい傾向があります。また近年、気象が
狂暴化する傾向があるので、風圧の軽減を図り、枝折れ・倒木の危険性を低くするといった安全・安心の観点からも、剪定により樹高を下げる対策が効果的です。一般的に腐朽部空洞率が幹の断面積の50%を超えると倒木が発生する確率が高くなるとされています。

住戸に影響するようになった高木の剪定作業の様子

【根上がり対策】
 根が舗装を押し上げる主な原因は、土の性質(粘土等固い性質の土)や地下水位の上昇、地下の障害物(コンクリートの基礎等)等による根の生育スペースの劣悪化にあります。放置しておくと補装の押し上げだけでなく、埋設管に根が食い込み、詰まり・破裂の原因ともなります。

インターロッキングブロックを外して、高圧の空気で土をほぐし、現場の状況、予算等に合わせて現状の生育スペースの改善を行う必要があります。

(大規模修繕工事新聞 138号

けやきの根上り修復作業の様子

【樹木診断・管理計画】
樹木医による外観診断、精密診断(非破壊診断等)から、植栽の評価・判定を行い、造園コンサルタント会社や造園会社等が改善案を作成します。その改善案をもとに5、10年後を見通した中長期的な管理計画や今後のリニューアル方針を立てます。管理計画の留意点は、①枝透き剪定や支障枝剪定は適宜継続させること②樹勢の状況により、土壌改良等による樹勢回復措置を適宜実施すること、などです。

(大規模修繕工事新聞 138号

音響波を用いた、樹木断面の非破壊診断