と標準管理規約の改正をみる
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2021年5月5日付第464号「論談」より
国土交通省のもとでいまマンション管理適正化基本方針の設定と標準管理規約の改定がすすめられている。意見募集を経て6月にも正式に公表される。管理組合の運営の立場からどう見るかを考えてみたい。
マンション管理適正化基本方針は、マンション管理適正化法の改正にもとづくもので、これまでは旧法のもとで適正化指針が2001年に発表されている。
今回の基本方針は適正化指針をさらに詳細化したもので、大きな柱に変更はない。基本は「マンション管理の主体は、区分所有者・管理組合である」ことである。この方針が今後も一貫してつらぬかれ、管理の適正化への国や自治体の施策や支援がすすめられるよう期待したい。また管理組合団体としての私たちも、管理組合が主体としての力量をいっそう発揮するよう支えたい。
なお基本方針には専門家としてマンション管理士がきわめて多くの場面で言及されているが、過大評価ではなかろうか。実際に専門家として通用するは登録数のうちのわずかであって、実情は発展途上の資格である。必要な育成をふくめて位置づけられるのが望ましい。
標準管理規約の改正はオンライン総会・理事会の必要性に合わせた改正を中心としてもので、内容は妥当である。ただできるところでも実態はリアルとオンラインの併用が中心で、かつ規約の改正を経なくても、実施は適法だと一般に解釈されているから、各管理組合は無理に規約の改正を急ぐことはないと思われる。
そもそも標準管理規約は、管理組合が規約を設定あるいは改正する際の参考という位置づけである。
またマンションの規模や環境、構成は多様であり、標準の想定する内容と隔たっている場合も多い。したがって、あれこれ注文をつけずに、管理組合の自律的判断にまかせてよいと思われる。共用部分への置き配の問題など、あえて標準管理規約がとりあげるべき問題なのか疑問である。むしろ、役員資格のように標準管理規約自身が狭く限定したり、大幅に広げたりして定見を持ちえなかったことを考えれば、標準管理規約そのもののあり方を考え直すべきでは
なかろうか。 (NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞 138号)