■中規模修繕・分散方式
「中規模修繕・分散方式」とは、大規模修繕工事の項目を分散し、適時適切に実施しようとするものです。一般的に大規模修繕工事を12年周期とすると、おカネが貯まるスピードと工事をやらなければいけないスピードがアンバランスになる現象が起きやすくなります。
さらに大規模修繕工事のあとに給排水設備工事や、電気設備、エレベーター、玄関ドア・サッシなどの大きな工事が発生します。
この問題を改善するため、各種工事を集約させて単年度大きな工事を実施するのではなく、大規模修繕工事を範囲ごとに分散させて大きなお金を投入することを避ける方式を考案しました。この方式を採用することにより、管理組合の財政が改善することが、間違いなく可能となります。
■直接施工・管理方式
管理組合が工事会社と工事請負契約を締結するにあたって、全建センターが管理組合と管理契約を結びます。全建センターの管理業務は、
①責任施工会社の選定アドバイス
②工事のマスタースケジュール作成
③工事会社管理
④予算管理です。
これまでの設計・監理方式と比べ管理料のみのためコスト削減となり、その他にも工事会社保証・完成保証・瑕疵保証・材料品質保証がセットされています。
■定期的な検査+小修繕
修繕工事の分散化や足場のかかる工事の長周期化は定期的な検査により、適切な維持管理を行ってこそ成立します。適切な検査を行い、継続的な小修繕を繰り返すことで強引な工事計画にも対抗できるのです。
小修繕は「小回り」と「コスト」が重要ですので、専門工事会社に直接発注することをおすすめしています。全建センターの会員工事会社紹介制度がありますので、ご活用ください。
■セカンドオピニオン制度
管理会社が作成した長期修繕計画に不満がある、建物調査診断書が適切かどうかわからない、管理会社やコンサルタントなどの主導でどんどん工事計画がすすめられていく…全建センターには、このような管理組合の相談が多く寄せられています。
全建センターのセカンドオピニオン制度で、工事計画を再評価し、管理組合の疑問や不安を取り除きます。
■9年目点検
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では、10年間の契約不適合責任(瑕疵担保責任)を定めています。これは引き渡された住宅に施工不良や不具合等の契約不適合(瑕疵)があった場合、その修理をしたり、賠償金の支払いなどをしなければならないことを意味しています。
そして、この期間が10年間であるため、築10年目以内に点検を実施し、不具合を確かめることが賢明です。「9年目点検」としましたが、「築10年目以内」が分譲主の負担で修理をしてもらえる法的ラインです。
■理事長マスターコース
この理事長マスターコースは、管理組合の理事長や理事、修繕委員会などを対象にした1年間の研修コースで、全建センターの筆頭理事が講師を担当します。研修は1カ月目の「基礎編」と2~12カ月の「実践編」で構成し、YouTubeで受講します。
「実践編」は(1)区分所有と管理規約概論(2)マンションのしくみ建築編(3)マンションのしくみ設備編(4)管理会社との委託契約について学びます。講座終了後に修了認定証を発行します。
■新長期修繕計画
これまで大規模修繕工事は12年周期が一般的といわれてきましたが、全国建物調査診断センターのセカンドオピニオン制度で作った「新長期修繕計画」を適用すれば、 18年周期となります。「新長期修繕計画」は小修繕を連続することで実現します。
■建物調査診断書・評価サービス
管理会社・コンサルタント・工事会社等からの建物調査診断書に問題があるケースが増えており、全建センターへの相談ケースが増えています。
マンション大規模修繕における第一歩である「建物調査診断書」の内容が、本当に適切であるか一般社団法人 全建センターが評価・判定します。
大規模修繕工事新聞 144号