管理を断る管理会社
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2021年11月5日付第470号「論談」より
このところ、マンション管理の契約更新を断る管理会社が増えている。
マンション管理は、区分所有者である管理組合員が主体であることは言うまでもないが、日常の管理業務については管理会社に委託している管理組合が9割方を占めている。
その中には、本来区分所有者の持ち分である理事会の運営も含めて管理会社に依存しているところがかなりあることも残念ながら事実である。
◆増える契約更新拒否
このような中で、契約更新拒否が、最近はごく小規模のマンションだけでなく、中規模以上の管理組合に対しても広がっている。管理会社も営利企業だから、種々の理由で契約を更新しないこともあり得ないことではない。
しかし、逆の立場からいえば、管理組合の迷惑を考慮しない管理放棄であり、企業の社会的責任を顧みない行為である。
◆疑問ある拒否理由
更新拒否の理由は、2年前のマンション管理新聞の調査によれば「管理組合の要求・注文が不合理」が最多であるが、「採算が取れない」も7割近くがあげている。確かに一部の管理組合に不合理な要求をするところがないとは言えないが、アンケート回答どおり本当に最多であるかどうかは疑問である。実際は採算つまり経営上の都合がほとんどではないだろうか。
管理組合の対策についてである。管理会社の委託管理費値上げ要求には、根拠をただすとか近隣の同規模のマンションの状況を調べるとかして、業務対象を削減する提案を行うなど、単純な反対でない合理的な対応をすることは当然ありうる。
◆自立的立場が重要
そもそもマンションの管理というものは、どうしても専門家でなければならない業務はあまりない。
最も重要な業務である修繕工事や管理費収納は、工事会社や金融機関が対応するもので、管理会社は仲介者である。
したがって、窓口業務などを除けば、その業務の大部分は管理組合理事でできるし、また個々に発注することも可能である。この機会に、管理組合として、委託せず自分たちで運営できる業務はないかを含め、管理組合の自立的立場を確立していく機会とすることも検討すべきではないだろうか。
(NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞 144号)