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管理組合は「経営感覚」を持つべきなのか

管理組合は「経営感覚」を持つべきなのか
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2022年1月5日付第472号「論談」より

 かなり以前から全国紙の一面に「『管理組合役員の義務』意識していますか?」にはじまる大手管理会社G社の広告が掲載されている。確かにマンション管理組合の理事や監事になった人が役員としての義務を意識し、それを果たすことは当然である。
 その限りでは一応問題はない。ただ管理組合の役員からチェックされる立場にある管理会社がそのことをあえて言うのには違和感を持つ。
◆「経営感覚」への疑問
 G社の広告は、次いで「分譲マンション管理組合の運営で大切なことは『組合の公益を重視した経営感覚』です」と続く。しかし、組合運営の基本が「経営感覚」というのは、まったく違うと考える。
 「経営感覚」は明確な共通の定義はないようだが、会社のように利益をあげることを第一とする営利法人の経営者に求められるものであって、管理組合のような非営利団体で、組合員の総意で運営を行う団体にとってはあまり縁のないもののはずである。
◆管理組合の目的
 そもそも管理組合の目的の基本は建物その他の共用部分の維持保全にある。
 マンションの機能を故障なく保ち、建物を長期にわたって健全な状態で保全し、住民生活の快適な状態(アメニティ)を如何に保障するかである。
 そういう意味では極めて保守的な財産保全のための組織であって、変に「利益」や「経営」などを考える間隔を持ち出すと、たいへん危険な道にすすんでしまう恐れがある。
◆組合員の利益こそ
 「組合の公益」というのもおかしいと思う。
 管理組合運営の理念は、組合員の利益を如何に守るかというところにある。つまり組合員それぞれの「私益」を保障するのであって、そこから離れた「組合の公益」などはないのである。「公益」といえば美名のように聞こえるが、実質は何もない。
 管理会社の多くは、傘下に修繕工事会社を持ったり、修繕工事会社と連携したりしている。G社の「経営感覚」提唱が、管理組合の役員に対し、「公益」の名で過大な修繕工事を実施させる動機になるのではないかとの危惧を感じざるを得ない。
(NPO日住協論説委員会)

(大規模修繕工事新聞 146号)


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